2011年01月16日

全員協議会(2011.1.14)コンプライアンス条例

 1月14日、平成23年第1回臨時会が開かれ、それにあわせて全員協議会も開催されました。様々な内容の協議・報告されましたが、まずは注目の案件「月形町職員の公正な職務の執行の確保に関する条例(コンプライアンス条例)案」についての協議内容を報告します。

 ※ 写真は今朝(1月16日)の自宅前。月形町も14日〜16日朝にかけて本格的な降雪があり、車もすっぽり雪の中です(車に乗った雪は1.5日分の降雪量。約60cm)。今朝は雪も一息ついたので、車の発掘作業や除雪作業に大わらわ。ご近所でも屋根の雪下ろしが盛んに行われていました。
 積雪はちょうど1m(それでも例年より50cmも少ない)。明日からはまた雪の予報。今しばらく気を引き締めていきましょう。
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この日の協議目標は、「議会としての修正案をまとめる」というもの。
まずは町側法務担当者との質疑応答により条例の中身の確認と技術的な説明を受けた。あわせて正・副議長から(町長ら理事者との)事前調整時の報告もなされた。

■■■ 事前調整の報告・・・正副議長より■■■
●法令遵守委員会委員の人数
 ・・・秘密性保持を徹底するために少人数の必要がある。3人にしたいとの町側の意向。
    また同じ理由で、議員が入ることも控えることになるとのこと。
●公益通報の無記名化
 ・・・無記名もありうる。
    まずは1.2年実験的に無記名とし、その結果(通報数の状況)を踏まえて検討してもいい。
●倫理規則の内容(具体性や業者との癒着防止など)は、修正要望があれば検討する。

■■■ 議員からの質問・確認と、担当者からの説明 ■■■

【法令遵守委員会について】
Q 法令遵守委員会の位置づけをどう考えているか?
A 法令に違反したことに対応する委員会。公益通報があったときのみ活動する。

Q 不正行為に対し内部調査しかしないのか? 懲罰規定は?
A 調査は法令遵守委員会が行い、違反に対しては懲戒処分等審議委員会が行う。

【不当要求行為について】
Q 不当要求行為の対処に、法令遵守委員会が関与しないのはなぜか?
  不当要求行為との判断が難しい場面はどうするのか?
A 不当要求行為には内部で十分対応・処理できると考える。それ以上の場合は警察に通報する。
  法令遵守委員会は法令違反したときにだけ対応するもの。

【倫理規則について】
Q 規則中「多数の者」とあるが、何人からか?
A 判例では50名程度となっている。

Q 関係事業者の絡みや私的な関係の取扱いが難しい。現状では紛らわしい。どうにかできないか?
A 簡単にすることは可能。

【その他】
Q 切手事件を受けてこの条例を立ち上げることになったが、切手事件はなぜ起きたと考えるか?
A 公務員として、してはいけないことをした(倫理観の欠如)による。
  公務員としての規準は持っているものの、基本スタンスを間違えてしまったことによる。

Q コンプライアンス(法令遵守)とは、単に法を守ることだけでなく、説明責任や情報公開も
  含んでいると考える。この条例ではどの部分に含まれているのか?
A この条例では(説明責任や情報公開について)触れていない。

Q この条例をつくるに当たって参考にした条例は?
A 岐阜県御嵩町、旭川市、滝川市、その他道内の町村

■■■ 議員間討議 ■■■

【各議員からの意見】
●コンプライアンス(法令遵守)は不断の改善・改革の積み重ねである。
●日常の訓示など、法令遵守の日々の努力が肝要

●法令遵守委員会は、法令遵守全般に関し、町長に外部の意見を提言する機関にしたい。
●法令遵守委員会を公益通報だけでなく、不法要求に対しても何らかの関与ができるようにしたい。
●法令遵守委員会の活動が見えるように、概要あるいは対応件数だけでも公表は必要。

●この条例は規則4本を有し、体系的に組み上げられたもの。はたして機能するのかは疑問。
●コンプライアンスの要は法令遵守委員会と公益通報。他はそぎ落としてもいのではないか。 
●職員自身が「法令を熟知し、法令を遵守する」規定を入れ、強調することも必要ではないか。
    ↓
【議会修正案】
宮下案(この日に向けて検討を重ねた私個人の案)をたたき台に、上記意見を踏まえ、文言修正・文言整理を行い、これを[議会修正案]とした。

後日、正・副議長が[議会修正案]を町長に提出する。それをもとに町側が検討を加え、1月28日の全員協議会で、議会と理事者による修正案の審議を行うことになった。
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前回の審議から約1ヶ月間、法務に関し素人の私は大学の先生や他自治体議員にもご協力いただき、できうる範囲で「コンプライアンス条例」について調べ学びました。法務はもちろんですが、コンプライアンス(法令遵守)とは何か、を考えさせられた1ヶ月でした。

結果、私の出した結論は以下の通りです。

◆コンプライアンス(法令遵守)はただ単に法令に従い守るのではなく、法令の精神を理解し、
 時代や状況に合わせ、それぞれが公平公正な判断と行動をすること。
◆現代のコンプライアンスは、法令遵守とともに情報公開や説明責任も含む。
◆コンプライアンスを確立するためには、日々の積み重ねが重要。
 個々には研修を積んで法令を理解するとともに、組織として継続的な対応を行う。

この1ヶ月コンプライアンス条例に向き合いましたが、切手事件の検証が充分でないために
「何に重点を置くことで事件が防げるのか」「月形町にとって必要な具体的な再発防止策は何か」
は未だ見えません。もし今また同じような事件が発覚した時に最善の対処ができるのかは疑問です。今後の検証作業後に再考し、対応すべきと考えます。

しかしながら、この学びを通して「切手事件は月形町におけるコンプライアンスを考えるきっかけ」だったことに気付きました。理事者も議会も、言葉ではコンプライアンスを声高に叫んでいても、充分な理解と対応はしてこなかったのも事実です。切手事件に縛られて考えを狭くするより、コンプライアンスという大きな枠の中で将来的に有効な条例を作り上げることが、今は重要である感じました。

一方、議会で議論を重ねていく中で、多くの議員から私と同じ考えの発言がありました。普段は全く違う思考や観点、経験の議員でありながら、コンプライアンスに関しては同じ感覚を持っていたことに正直驚きましたが、嬉しくもありました。議員は十人十色、様々な意見を持つものの本質的に目指すものは同じだと分かったからです。合議体としての機能が果たされているとも感じました。

コンプライアンス条例については一歩進んだだけで、完成していません。今後もひき続き注力していきます。

なお、コンプライアンス条例(宮下案)を創るに当たって特に参考にしたのは、以下の自治体の条例や規則、要綱及びその解説等です。

◎滋賀県近江八幡市「近江八幡市コンプライアンス条例」
◎京都府長岡京市「長岡京市における法令遵守に関する条例」
◎東京都千代田区「千代田区職員等公益通報条例」
実践・条例法務(7) 公益通報条例の考え方 札幌大学教授 福士明氏
                          (フロンティア180 秋季号55号)

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