2014年02月18日

平成28年度から保育所型認定こども園【町主催:月形町の幼児教育についての説明会】

月形町の幼児教育環境が大きく変わることへの対応や課題を、これまで様々な視点からお伝えしてきました。
そして今回、いよいよ町側が方針を示す説明会が開催されたので、ご報告します。

町主催による
『月形町の幼児教育についての説明会』

2月16日(日)午前10時〜
2月17日(月)午後6時〜
の2回、月形町交流センターで開催されました。

開催告知は約1週間前からと直前だったのですが、新聞折込1回とIP告知端末によるほぼ毎日の集中告知、開催日を昼夜2回にしたこと、町民の関心の高さなどから、2日間で50名以上の参加がありました。多くは対象幼児を持つ保護者ですが、幼児教育・児童福祉の関係者、一般町民、議員(楠、大釜、宮下)の姿も。

主催者側として会場前方には9名。町長と教育長、その後方に関係部署(総務課、教育委員会、住民課)から各課長と課長補佐など。司会は総務課、受付等は教育委員会が担当。別室では託児もしていたようです。(子ども連れの保護者に個別に声かけしていた。配慮されていたことは◎だが、事前告知があればもっと良かった。)

説明会では右の写真のようなレジュメと、幼保連携推進室が発行する「認定こども園」の資料(A4両面カラー1枚)が配布されました。

「町の方針」については資料が全くなく、町長と教育長から口頭での説明があっただけですので、以下の内容は私が急ぎ書き留めたものです。多少のニュアンスの違いや漏れがあるかもしれません。町側からの正式な報告は「議会で説明したのち、直近の町報かお知らせ号に掲載する」とのことですので、ご参考までに。
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《町の方針》
 ・・・町長・教育長からの説明を中心に、質疑応答で明らかになったことも含む

■平成28年4月から、認可保育所花の里保育園を、保育所型認定こども園にする。
・「保育所型認定こども園」開設決定の理由:月形町の乳幼児数や出生数から2つの施設を持つのは難しく、1つの施設で賄えるため。また、国の方針(幼保一元化)、子ども達の人的環境変化に配慮(?)、保育の継続性などから。
・平成26年4月からの2年間は「認定こども園」への準備期間とする。
・花の里保育園の指定管理者である札親会に、引き続き認定こども園をやってもらう。
・花の里保育園の職員として2名を新たに採用(平成26年4月〜)。
 認定こども園への準備と、大谷幼稚園からの移行幼児への対応をするため
※大谷幼稚園の閉園は平成28年3月で決定。1年延長することはない。

■北翔大学と保育分野でも連携を図る。
・平成26年1月に、町と大学が包括的連携協定を結んでいるので活用する。
・北翔大学には子ども学科や、系列の認定こども園がある。
 職員の研修先としての活用。ノウハウを入れる。

■「大谷幼稚園で卒園できない幼児」と「花の里保育園児」が
           認定こども園にスムースに移行できるよう配慮する。

・2年の準備期間中、幼児の交流を行う。
・幼稚園閉園と同時に、幼稚園教員2名を認定こども園に採用する。
 (慣れ親しんだ先生も一緒に移行。小学校統廃合時と同様の対応)。
・保護者(幼稚園・保育園とも)を対象にした「認定こども園」への視察を実施。
 認定こども園への不安を解消、理解を深めるため。


《質問・意見》
Q)「花の里保育園」が「認定こども園」になる時、施設の収容能力は足りるのか?
A)現在80人を想定して検討している(今後ニーズ調査をし、待機児童なしで定員を決める)。法的には間に合うだろうが、使い勝手などから増改築することもある。平成26年度に幼児交流の様子を見ながら、平成27年度に工事を行う予定。

Q)工事中、花の里保育園に乳幼児を預けるのは不安。どのように対応するのか?
A)大規模な工事はしないつもり。保育に迷惑を掛ける工事はしない(=子どもの安全には十分配慮する)。

Q)保育料の確定はいつ? 
A)認定こども園に関する新しい法律が平成27年度からスタートする。その全容が解らないうちは保育料を決定できない。検討できるものはできるだけ早く詰めて知らせたい。(当初は「平成27年度を目処に」としていたが、保護者からの要望が強く「平成26年度中に目安となるものを示したい」となった。)

Q)今後、認定こども園の詳細はどのように決定されるのか? 
  意見や要望は反映されるか?
A)役場と認定こども園(花の里保育園)側による「準備委員会」が対応する。保育内容などは幼稚園と保育園の良さを生かし、先生方と協議をしながら決めていく。要望や意見は準備委員会に言って欲しい。

Q)保育所型認定こども園になれば就園奨励費は受けられなくなり、保護者の手出しは大きくなる。また、所得割の保育料では高額になる。幼稚園を選べない月形町の状況を考慮して、町として補助できないか?
Q)花の里保育園の現行保育料も近隣に比べて高く、子どもを育てにくい。認定こども園になることをきっかけに、保育料を安くすることはできないか?
A)現在の幼稚園の負担額を勘案しながら決めていくが、保育料の基本は所得割。
 国の基準が出ないうちは決定できない。保育料を安くすることは私(町長)だけで判断できない。行政は総合的な見地で予算配分する。保育料だけを取り出して補助するのは難しい。保育料を手厚くすれば他にしわ寄せが行くことは理解して欲しい。

Q)町内無認可保育施設「わくわくの杜」への入所は可能になるのか?
A)町内幼児が入所できないのは、「わくわくの杜」側の判断で行っていること。

Q)入園から卒園まで同じ施設で過ごさせたい意向(保育環境の継続)への配慮は?
A)学校統合と同じ考え方で、特段の配慮はしない。準備段階で交流をするので、理解して欲しい。

Q)認定こども園で(他地域の幼稚園等で行っている)未満児保育を行うか?
A)要望として考えていきたい。
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《町の方針=2年後に保育所型認定こども園開設》が出されたことで、ひとまず先の見通しがついたことは良かったです。しかし、全ての疑問や課題、保護者の不満や不安が解決したわけではなく、これから検討すべき点は山積み。準備期間が短いことも変わりはありません。行政は危機感・緊迫感を持ってコトに臨んで欲しいです。

特に、これまでは「幼稚園に通う平成26年度3歳児」の処遇が争点でしたが、花の里保育園を認定こども園にするとなれば最も影響を受けるのは「保育園在園児」。保育園の保護者向けに丁寧な説明が必要でしょう。

また、これからは「指定管理者の指定」や「予算措置」の審議で議会の役割が大きくなります。問題の本質をどれだけ理解し、これからの月形町にとって最善の選択や問題提起ができるのか、議会・議員としての真価が問われる場面になるでしょう。気を引き締めて取り組みたいと思います。もちろん情報公開していきます。


さて、ここから先は「幼児教育」という内容ではなく、「説明会」という行政と町民の対話の場に対して、私の感じた感想(=違和感)です。今後、改善されることを期待して記しておきたいと思います。

■会場の配置
今回の「説明会」は、参加者からの意見や要望を聞く場としても設定されていたはず。だとすれば、なぜこのような対峙する会場の配置にしたのでしょう? 

「正面に構える行政側」と「説明を受ける参加者側」として座席が配置され、大きな溝を作っているように見えました。

例えば、前方のテーブルを無くし、町長と教育長を参加者全員が丸く囲うようにしたら、もっと気楽に参加者も発言できるでしょうし、理事者の考えもストレートに届くでしょう。加えて、理事者の後方に控えていた職員は参加者側の後方に位置し、必要があった時だけその場で発言すれば行政側の威圧感は相当に減るのではないでしょうか。
参加者の意見を引き出す工夫や姿勢があっても良かったのではと思います。


■資料の不足
町から配付されたものは項目だけで、《方針》も、それに至った根拠も何も記載されていませんでした。説明会なのに、なぜ全てが「口頭」なのでしょう?  
非常にたくさんの情報が提供されたのに、何も資料がない中でメモを取るのは大変ですし、誤解や勘違いがおきるかもしれません。

説明会とは、町側の意向を伝え町民を説得する場でもあると思うので、誰もが理解し納得できるような資料があれば、より早く相互理解が深まるのではないでしょうか。


■決定権・予算提案権を持つ理事者の発言
地方自治体で予算提案権を持つのは町長だけです。町長が「こういう政策をしたいから予算をつける」と提案しなければ何も始まりません。認可保育所の保育料に関して言えば、国は最高限度額は決めていますが、実際にいくらにするかは自治体に委ねられています(町長が議会に提案し、審議後決定する)。

今回、多数の保護者から「保育料」について意見が寄せられましたが、それは具体的な数字を求めると言うよりも、「理事者が月形町の幼児教育をどう考えているのか?」という《基本的な考え》《姿勢》を聞いていると感じました。あくまでも国の基準に従う(独自施策はしない)のか、子育て支援を重視する(独自の予算配分をする)のか。

それに対する町長の回答は「国の基準が出なければ決定できない」「私一人では判断できない」と残念なもの。決定権を持たない担当職員ならいざ知らず、予算提案権を持つ理事者の発言ではないと私は感じます。
「国の基準以上の予算措置はできない。」「負担が増えないように激変緩和措置を考えている。」・・・ 考えや姿勢を示す表現はいくらでもあるでしょう。次の機会を待ちたいと思います。
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最後に・・・

幼児を持つ保護者は身軽です。町内に幼児教育環境が整っていなければ、転居し遠距離通勤もいとわない家庭も少なくありません。実際(様々な理由はありますが)月形町は昼間人口>夜間人口、町外から通っている人の方が多いのです。

今回の問題は、町内の幼児教育環境・子育て支援だけでなく、過疎対策、定住化策、自治体間競争の側面も持ち合わせています。

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