2013年03月21日

特別職の処分案に反対するも、賛成多数で可決【町立病院医療事故関連】

定例会での審議内容の報告です。標題の【町立病院医療事故関連の議案・町長と副町長の処分(10%減給×1ヶ月)】は、3月5日(本会議1日目)に提出/審議/採決されたものです。

まずは、事の発端である医療事故とここに至るまでの経過を説明します。
(以下の内容は、町側から議会へ提出された「病院事務長の不適切事務処理経過」の文書を基に、議会との質疑応答や議案審議で明らかになった内容も含め、要約してまとめました。)
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■平成23年9月17日  医療事故発生
 :大腸内視鏡検査のために入院した患者が、検査後の経過観察中に死亡。
  異状死として警察に通報し、北大病院で司法解剖。
  解剖の結果、死因は心筋梗塞と判明。検査との因果関係はないと診断された。

■平成23年10月頃(事故発生から約1ヶ月後) 遺族からの問い合わせ
 :遺族から、事故発生時の対応について問い合わせ(クレーム)あり。
  病院事務長と看護師長で対応。

■平成23年3月第1回定例会/予算特別委員会 医療事故に関する質疑と答弁
 :金子議員から「町立病院で医療事故はあったか?」の質問に対し、
  病院事務長から「医療事故はこの1年間発生していない。」との答弁。

■平成24年3月頃か4月上旬  クレーム対応
 :遺族からクレームの電話が来ていることを、病院事務長が副町長に報告。
  事務長は副町長から「弁護士に相談したらどうだ」と言われる。
  副町長から町長への報告は無し。

■平成24年4月16日  弁護士との委任契約
 :契約書類は町長名で交わされているものの、病院事務長が単独で行った。
  弁護士との契約に際し、理事者への報告もなく決裁も受けていなかった。

■平成24年5月15日  土橋副町長 任期満了で退任
 :11月1日に三浦氏が就任するまで、副町長は空席

■平成24年9月第3回定例会/決算特別委員会  医療事故に関する質疑と答弁
 :医療事故についての金子議員からの質問に対し、病院事務長が経過を答弁する。
  町長はこの時初めて、事実内容を知った。

■平成24年11月27日第4回臨時会  和解・損害賠償金300万円を議会に上程、議決
 :町立病院の医療処置に瑕疵(欠点、欠陥)はないが、障がいを有している患者に
  対し検査後の経過観察に更なる慎重な配慮が必要であったのでは、という判断。
  和解・賠償金300万円と弁護士費用は全額、病院賠償責任保険で対応。

■平成24年12月7日  職員の懲戒処分等審査委員会開催(病院事務長の処分)
 :病院事務長が不適切な事務処理(理事者への報告、決裁、復命等を怠ったこと。
  独自の判断で弁護士を通じて事務処理を行ったこと。他)に対する処分の審査。
  事務長は10%減給×3ヶ月の処分が相当との決議。(12月10日 発令)

■平成24年12月第4回定例会  町長と副町長の減給処分を上程するも、取り下げ
 :病院事務長の不適切事務処理に関し、その管理責任をとるため、町長と副町長の
  減給処分(10%減給×1ヶ月)を上程したが、議会の理解を得られないために
  議案を取り下げた。
 (※全員協議会でこの問題の取り進め方を議論。議員から意見や要望あり。)

平成24年12月21日  法令遵守委員会開催(第1回)
 :病院事務長の不適切事務処理に関し、法令遵守委員会の意見を聞く。

■平成24年12月26日  保険金支払い
 :損害賠償金300万円が保険会社から遺族に支払われる。
  弁護士費用63万円は、12月21日に病院から支払われた。       

■平成25年1月28日  法令遵守委員会開催(第2回)
 :負託案件に対する意見書を作成し、町長へ提出。

■平成25年3月5日第1回定例会  町長と副町長の減給処分を上程、議決
 :処分内容は、取り下げた12月定例会と同様。
  宮下が反対討論を行う(理事者の認識、処分内容、改善策などの問題点を指摘)。
  採決の結果、賛成多数(反対は宮下のみ)で原案可決。
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私は当初から、病院事務長の不適切な事務処理より、役場内部の統制と理事者に問題があると考えていました。今回、ある時点まで土橋副町長(当時)は報告を受け指示を出していたわけで、その時点までは事務長の落ち度はなかったと考えます。

5月以降、副町長が空席になり伝達が充分でなかったことは事務長だけの責任でなく、むしろ副町長空席でも対処できると、空席を決定した町長の責任が大きいと考えます。それにもまして、土橋副町長在籍中から町長が状況を把握できていなかったことは、理事者間の情報共有不足であり、ガバナンス(統治)という面からも大問題です。

昨年12月定例会で理事者の処分案を取り下げた折、私は以下のことを要望しました。
◆事の顛末を文書で提示(これまでの口頭説明では、事実が二転三転している部分が
            あった。事実を正確に把握するため文書が必要。)
◆法令遵守委員会を開催し、意見を求めること。
◆理事者処分の考え方と根拠を示すこと。
◆具体的な改善策を示すこと。

法令遵守委員会はすぐに開催され、意見書は議会の審議前に配布されました。しかし、事実と経過を示した文書は提出されず、再度要望して議決後に配布される始末。また、議案説明の中で、理事者処分の考え方と根拠は明解でなく、特に「最高責任者としての責任」と「具体的な改善策」は言及されませんでした。

このような説明内容や対応、直接の担当者(病院事務長)よりも軽い処分に問題アリと考え、私は採決で反対しました。

一方、多くの議員が全員協議会や議場外で疑問を呈していたにもかかわらず、質問も討論もなしに賛成したことは残念です。結果的に、12月定例会と何ら変わらない内容の処分であるにもかかわらず、一度は取り下げまで迫り、次は何事もなく通す・・・議会の不透明さは、議会の不信を招くように感じます。とても残念でした。

これにて、この件に関する審議も処分も終了です。
これを契機に、より良い行政になっていくものと考えていたのですが・・・
今定例会で新たな問題が、またも明らかになりました。このことは別項目で。    

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