2011年03月30日

南空知地区市民合同学習会(岩見沢市のゴミ処理答申について)

岩見沢市の今後のゴミ処理方法を検討してきた「岩見沢市きれいなまちづくり検討会議」が先日、渡辺岩見沢市長に答申をしたことを受けて、その内容と今後についての学習会が3月26日午後、岩見沢市コミュニティプラザ会議室を会場に開かれました。

会場には、岩見沢市のゴミ処理に関心の高い市民(6つの市民団体)を中心に、南空知地区内からも数名(多くは有機肥料や産業廃棄物処理などをする事業者)、日本技術士会のメンバー2人(ゴミ処理技術解説のサポートとして)など、会場いっぱいの約40人(女性が2/3)が参加していました。

岩見沢市のゴミ処理方法に関しては、昨今の状況から月形町も無関心ではいられない状況です(「ゆみこの議員活動報告書No.9」PDFの2ページ目に記載)。私も強く関心を寄せていた事項なので、案内をいただいてすぐに申し込みました(今回月形町からの参加は私1人でした)。

以下は学習会の内容です。
「岩見沢市きれいなまちづくり検討会議」の市民代表委員の一人である武田涼子氏(ごみのよりよい始末を進める市民会議 代表委員長)の説明に加え、質疑応答での内容や技術的な解説も合わせ、全体的にまとめて記しました。私の視点で捉えたものです。

※本来は答申そのものを入手して書くべきところですが・・・岩見沢市のホームページを見ても、インターネットで検索しても見つけることができませんでした。「既に公開されている」との情報もあったのですが・・・市役所まで行かなければ入手できない? それとも閲覧だけ?
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【岩見沢市きれいなまちづくり検討会議 答申内容】委員7名(大学関係者3名+市民代表者4名)

■ゴミ処理の検討経緯
 ・今使用中の最終処分場はあと5年で満杯(ただし現状の処分方法なら3年で満杯もあり得る)
 ・検討会議は、平成27年度からのゴミ処理をどうするかを検討課題としていたが、
  検討途中で「ゴミ問題」が発覚。問題の主たる原因である「生ごみ」に注目が向けられた。
 ・岩見沢市では平成4年に2分類から始まり、平成7年には7分類に → なし崩し的に問題発生
  (家庭からの排出時に分別していたものを、最終処分場では一緒に埋立していた。)
 ・現在、岩見沢市岩見沢地区はプラスチック容器包装リサイクルに対応していない。
  (プラの分別回収なし。北村地区、栗沢地区は実施している。)
  ただ、平成23年度からモデル地区で、24年度からは全市で実施することに決定している。
 ・岩見沢市は、次の最終処分場の場所は確保した。

■検討された処理方法
[基本の処理方法(4種類)]×[生ごみの処理方法(3種類)]=12通りの検討
 ・焼却処理          ・区別せず(基本処理のみ)
 ・溶融処理          ・堆肥化
 ・高温高圧処理        ・バイオガス化
 ・炭化処理

■検討経過
 ・市側がコンサルタントを使って作った資料(各処理方法の特徴、建設費・維持管理費見積 等)
  に基づいて議論。
 ・決定にあたってのポイントは「コスト」。他に、最終処分場に入るゴミの量。
 ・ゴミ処理方法を決めるための会議であって、ゴミ処理行政全般について議論する場でなかった。
 ・よって、分別の細分化や有料化についてはほとんど議論されていない。

■検討会議が答申した「溶融処理」について
 ・まずゴミに重油をかけ、約500℃の蒸し焼き状態にすることで可燃性のガスと炭に分解。
  発生したガスと炭を溶融炉に投入し1300℃以上の高温で燃焼。炭を溶かすことでガラス状の
  スラグを生成する。
 ・現在、スラグがリサイクルされることは少なく、ほとんどがそのまま最終処分場へ。
 ・高温で燃焼させるのでダイオキシンは発生しないが、燃焼制御の徹底が必要。
  → 場合によっては発生することも(事例あり)
 ・ゴミの中身(生ごみやオムツなど水分の多いものの割合が高い場合)によっては、
  処理温度が低下しタールなどが発生しやすくなる。
  → 配管のつまりや異常燃焼などが発生(故障の原因)
 ・処理温度の低下を防ぐために、当初の計画量より重油を多量に投入する事例が見受けられる。
  また、熱量の高い「プラ」を投入している事例もある。
  → 岩見沢市で平成24年度から実施される「プラの分別」との整合性は?
 ・溶融処理施設の建設や維持管理ができるのは、本州の大企業のみ。
  → 故障時に遠方から技術者を呼ばなければならず、経費がかかる。
 ・溶融処理方式が自治体に導入されてから既に10年が経過し、事例や検証などもされている。
  → 現代に求められる性能に達していないとの評価も出ている。
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今回の答申は「岩見沢市のゴミ処理」についてのもので、他の自治体議員である私が何かを言える立場にはありません。ただ説明会に参加して「岩見沢市がこのままこの処理方法を導入することに決定したのなら、月形町として広域処理に参加する意味はない。」と確信できました。

もし一緒に行うことになれば、
◎月形町が今まで行ってきた「環境に配慮したゴミ行政」を大幅に後退させなければなりません。
◎また「広域処理によるゴミ処理の効率化」も果たして達成できるのか疑問です。

岩見沢市にとってベストの選択であっても、月形町にとっては必ずしもベターではないのです。
様々な状況を考慮し「月形町単独のゴミ処理」も検討段階に来ているのではないでしょうか。
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話を戻します。

今回の説明会には、岩見沢市6つの市民団体の参加がありました。
・ごみのよりよい始末を進める市民会議  ・岩見沢消費者協会  ・岩見沢友の会
・ポプラの会  ・バイオマス資源循環を進める南空知市民会議  ・生活クラブ生協

いずれも独自の方法で「生ごみの資源化」に取り組み、「ゴミ処理=これからの生活がどうあるべきかということ」と捉えていました。また現代のゴミ処理は「まず家庭で分別を行い、ゴミを減量化する」ことが全国的な認識であるとの報告が、技能士会のメンバーからありました。
検討会議や岩見沢市の考え方とは出発点が違っていると感じます(私自身は市民団体のみなさんと同じ考えです)。

学習会の中で
「岩見沢市のゴミ行政は他の自治体に比べかなり遅れていた。遅れていたからこそ、今回の問題を契機に最先端のゴミ処理の町に変わることもできた。なのに何故?」
という声があちらこちらから上がりました。
こういう市民の声を理解し市議会に届ける議員がいないとしたら、とても残念なことです。

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