2016年03月31日

具体性に欠ける事業目的と設計、これで大丈夫か?【平成28年第1回定例会・報告4/新年度予算】

定例会報告もいよいよ最後。新年度(平成28年度)予算関係です。

国の新年度(平成28年度)予算が過去最高の96兆7千億円で成立したとのこと。借金体質の上に過去最高だなんて大丈夫なのか? 不安ばかりがよぎります。
その要因の1つである「地方創生総合戦略」。国に踊らされているようでしっくりこないのですが、それでも乗ってしまった船は漕ぎ出してみなければ。約1000万円もの費用をかけ、15名の審議委員が半年かけて作った戦略だからこそ、すぐにでも取りかからなければと思うのは当然でしょう。

月形町は平成27年度中に「月形町人口ビジョン」と「月形町創生総合戦略」を策定。平成28年度からの事業展開に関心を寄せていたところ、町長から「平成28年度はそれぞれの施策について町民や関係団体の意見や要望を聞き、本格的に実施するのは29年度から」という発言があったのです。ガッカリ↓

確かに町長の任期はあと半年。予算委員会最終日には「来期は出馬しない」宣言もしました。(→ 写真は平成28年3月17日北海道新聞朝刊)ですが、
この総合戦略は、人口ビジョンで想定した2060年(平成72年)の月形町人口が1500人になるよう、平成27年度〜31年度までの5年間で様々な施策を打つというもの。計画の初年度(平成27年度)は総合戦略の策定途中だったことから既存事業+α程度でもしかたないとしても、本格実施が29年度からとは!!

それに、現実の人口は既に想定(3757人)から200人も少ない状況で、計画の信用性や実効性に疑問符が付く状況なのに、それなのに・・・

ちょっと悠長に構え過ぎていないだろうか?

ここで私個人の考えを書いておきたい。
国が示した地方創生は、あまりに一方的で押しつけ感がぬぐえない。国が規定した補助内容に添ったとしても全ての地方が活性化するとも思えない。今まで広域連携や人材育成に消極的だった月形町の場合、形だけを繕っても実は結ばないと思う。そこまで先駆的な自治体との力の差があると感じている。
ただ良かったこともある。地方創生の名の下に町民が現状を理解し、未来に危機感を持ったことで、多少なりとも「まちづくりのきっかけ」ができた点である。
だからこそ、補助金(国からの飴)に惑わされることなく、今、月形町にとって本当に必要なことに取り組むこと(実行)や、将来に向かって育つ種を播くこと(投資)が必要だ。目先のちっちゃい利益に捕らわれていたら大義を失ってしまう。今こそ、理念や目的が重要になると感じている。

予算の話に戻します。
予算はその町の姿を映しています。身近な議員や職員に予算の中身を聴いてみてください。
細々と、色々と、気になるものはあるのですが、ここでは特に記録しておきたいものを掲載します。
__。__。__。__。__。__。__。__。

【月形町一般会計】平成28年度当初予算 34億6300万円(前年度より1億9400万円減)

■基金繰入金 2億5858万円(財政調整基金1億3000万円、公有財産整備基金1億2558万円) 
・前年度当初予算では 2億2190万円 繰入
 → うち財政調整基金から 1億3000万円、公有財産整備基金から8417万6千円
 → 最終的に、2つの基金からの繰入ナシ 0円
※)公有財産整備基金の使途が、公共施設の細々とした修繕等であることに疑問が残る

■町長公用車の更新 561万1千円
・現在の町長公用車(クラウン・マジェスタ)は、平成13年車で24万9千km走行。年間稼働日数約230日。エンジンの不調有り。冬道の安全性向上のためにも更新。
・新車は、クラウン・ロイヤル 2500cc 4WD ハイブリッド車。
・4月30日に車検切れになるので、その前に更新する。
・町長「稼働状況からも町長専用車は必要。専用車には町長以外に乗る人はいないので、ワンボックスタイプは不用。町を代表するトップが乗る車なので贅沢ではない。」
※)現町長の任期は今年の10月2日まで。この時期に高級車の更新が必要なのか? 車検切れする4月から任期終了まで、専用車でなく他の公用車を使用することもできるだろうに・・・

■地域おこし協力隊事業 836万4千円
・平成28年度に2名を採用予定。(国から1人当たり200万円/年の交付税措置あり)
・協力隊員の報酬は、18万円/月(嘱託職員の位置付け)
・募集要項や資格要件などは今後検討。
※)地域おこし協力隊の予算はつけたものの、何をしてもらうのかの明確なコンセプトはない。協力隊に応募してくる人はスーパーマンではないので過度な期待は禁物。また、月形町は全国的な知名度が低く特色も少ないので、全国的に募集が殺到している今、応募者を集められるのか? 地域おこし協力隊に対する認識や検討不足を感じる。

■不妊治療費用交付金 45万円
・夫婦のいずれかが町民であり、年齢制限はなし。対象となる治療内容は未検討。
・1組に対し、15万円×3回分を交付
・平成28年1月〜12月の治療実績に対し申請を受け付け、交付する。
※事業設計が曖昧すぎる。もし希望者が殺到した場合に、どのように優先順位をつけるのか?
プライバシーに深く関わる事業であるのに、不妊治療そのものの知識や状況調査が不十分。申請を受け付けるまでに、慎重な事業設計をすべき。

■衛生センター管理および塵芥処理経費>燃料費 504万5千円
・平成27年度実績(定例会1日目の補正予算:当初予算750万9千円 → −384万4千円減額)を踏まえ、大きく減額
・内訳:軽油代 396万8千円(パッカー車2台、トラック2台、作業機械4台分)
    灯油代 105万3千円

■随意契約ガイドラインの作成
・一般質問で追求してきた「一者特命随意契約」に関係して、「町長任期は半年しかない。いつまでにガイドラインを作成するのか?」と問うたところ、「順次見直しを行い、できるだけ早く作成する。」との答弁。
※)早急な対応に好感を持つものの、出来上がったガイドラインが実効性のあるものでなければ意味がない。コンプライアンス条例(月形町職員の公正な職務の執行の確保に関する条例)策定時も相当な時間と議論を経て出来上がったにもかかわらず、今回の場面では機能しなかった。要注視。

■観光まちづくり基本構想策定業務 477万円
・町内の観光施設(主に皆楽公園と周辺施設・博物館)をどう活用するのかの構想
・プロポーザル方式で業務委託(6月発注、2月策定)
※)プロポーザルにかけるため基本方針(業務概要、採用理由、参加資格、審査概要など)が明確でなかった。有効な業者をどう選定するのか? また、業者選定の公平性をどう担保するのか? この構想にかける発注側の意図が汲み取れなかった。

■商工振興事業>商品券発行事業 640万円
・プレミアム商品券発行経費
・商工会とJAからの強い要望による
※)短期的には商店の売り上げ増に繫がるが、あくまでその場限りのもの。単発の補助金に過ぎず、地域振興の起爆剤にはなっていないと私は感じている。将来的な投資の意味での振興策になっていないと感じる。

■月形温泉管理業務 2366万9千円
・このうち、月形温泉関連施設の指定管理料は 2052万円
・保守点検費用(7種類の業務委託費) 314万9千円(前年度 265万円 経費増による)
※)これまで指定管理料は0円だったが、前業者が赤字撤退したことから2052万円に。指定管理者は月形振興公社だが、温泉・宿泊・飲食の運営は(株)ファウンドに業務委託の形を採用して4月1日から再開。特殊で微妙な運用形態だと感じている。

■いじめ問題対策経費 15万4千円 >子ども会議
・子ども会議は、町内の小中高代表者を集め話し合いを行うもの(平成25年度〜)
・これまでも「いじめ」をテーマにしてきたので、関連事業に包括した。
※)各学校の代表者=児童会・生徒会役員であり、小中高が各1校なので生徒会等の役員は所属は変わってもほぼ固定されている。「いじめ対策」をテーマに毎年ほぼ同じメンバーで会議を持つことに意味はあるのか? 更なる工夫が必要と感じている。

■給食センター整備事業 423万円
・小中学校配置の配膳台、殺菌庫、炊飯釜等の更新
・現在の設備と人員とで、日食250人分を調理
※)一般質問(我妻議員)で「月形高校への給食提供の可能性」の提案があったことから、給食センターの調理能力が話題になった。平成21年7月の常任委員会調査で1000食分の調理能力が確認されていたが、その後の機器更新でどうなったのか? 充分な回答が得られなかったのが残念。この件については、平成28年度の常任委員会で調査予定。

【国民健康保険月形町立病院事業会計】
平成28年度 収益的収入および支出 6億2156万1千円(前年度より1億8644万5千円減)

■減額の主要因は、外来薬局が院外へ移行したことによる
・外来薬局がこれまでの院内から院外へ(入院・救急用は院内。薬剤師1名在籍)
・医薬材料費や薬剤師の人件費等の減少が大きい

■院長の定年延長
・本来は平成27年度末で定年退職予定だった院長。後任が見つからなかったことから、定年を2年延長することに。
・副院長も退職する祭は後任を確保することを約束している。

■月形町立病院への操出金 2億985万5千円
・このうち 赤字補填分(医師確保対策経費)は 7667万2千円
 (平成27年度は当初予算で 8346万円4千円)
・操出金が減額できたのは、平成27年度の患者数が平成26年度より若干増だったことによる。

■病院管理業務 1687万9千円
・平成28年度から入札に。
・詳しくは、→ 右の写真(平成28年3月16日の北海道新聞朝刊)

 

comments

コメント・フォーム

(ゆみこの日記 にはじめてコメントされる場合、不適切なコメントを防止するため、掲載前に管理者が内容を確認しています。適切なコメントと判断した場合コメントは直ちに表示されますので、再度コメントを投稿する必要はありません。)

コメント・フォーム

▲TOPへ戻る