2014年05月19日

指定管理者制度を採用しているということは・・・【認定こども園開設準備事業/H26年第3回臨時会/報告2】

ひとしきり降った雨が止み、日射しが差し込んでいます。

先週パラパラ降り出した雨は週末にはしっかりと大地を潤す恵みの雨になりました。ただ、寒気も呼び寄せ、道北や道東、山間部では積雪になるほど。月形ではそこまで下がりませんでしたが、冷たい風が吹きやる寒い寒い週末でした。

そして今日は晴天。気温も上がる予報で、芽吹きの匂いが漂う清々しい日になりそうです。

さて、本題。
平成26年第3回臨時会の報告2、今回は「認定こども園開設準備事業」の中身と議論された内容について報告します。(報告1は →こちら
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これまでの経過/平成26年3月定例会・一般質問

昨年11月に町内唯一の幼稚園である私立大谷幼稚園が平成28年3月で閉園することが決定し、それ以降、今後の幼児教育について様々な場面で検討されてきました。月形町の方針が正式に発表されたのは、今年3月定例会の一般質問の答弁です。以下のような町側の意向が示されました(詳しいやりとりは→ こちら)。

【月形町の方針/平成26年3月時点】

1)町立認可保育所「花の里保育園(指定管理者:札親会)」を
                  平成28年4月から「認定こども園」にする。
2)円滑な移行の実現に取り組む
 ●平成26年度、27年度を認定こども園への移行期間とする。
 ●「大谷幼稚園」と「花の里保育園」の子ども達が不安を抱くことなく
              健やかで楽しく生活できるような取り組みを進める。
 ●平成26年度から「花の里保育園」の職員を2名増員する。
 ・業務内容:認定こども園開設準備
 ・「大谷幼稚園」との合同保育のコーディネート
 ・研修および認定こども園開設事務は、
         「花の里保育園」に増員した分をやりくりしてやってもらう。
  (臨時職員が通常保育にあたり、保育園職員が開設準備にあたる等。)
 ●認定こども園の運営は、「花の里保育園」指定管理者の札親会にお願いする。
 ●大谷幼稚園の先生2人も認定こども園に加わる。
3)認定こども園の開設準備を進めている。
 ●園開設準備組織を立ち上げ、協議・検討を重ねてより良い施設をめざす。
  実施予定内容・保護者との関わりを持つ
        ・先進地の視察(準備組織メンバーだけでなく保護者も)
        ・北翔大学を中心に研修を行い、質の高い施設への準備をする


【問題点の提起】
町の方針に対し、私は以下の問題点を提起しました。

■認可保育所と認定こども園は目的も仕組みも違う。延長線ではない。
■指定管理者制度の目的(サービス向上=保育や教育の質の確保と向上、行政経費の節減=保育料の低減、税金からの負担軽減)のため公募を行うべき。札親会ありきで進めることに疑問。
■指定管理者の指定には、それに必要な資格や見合った法人が応募し対応するべき。
■花の里保育園職員2名分の増員は、それに見合った業務量があるのか疑問。認定こども園開設で最も大きいのは事務作業(行政の業務)。
■認定こども園開設までに2年間あるので、新たな指定管理者を前倒しで指定すれば連携や業務の引き継ぎに充分な時間を使える。先行事例がたくさんある。
■花の里保育園職員の研修費用は本来、事業者側(札親会)が出すべきもの。認定こども園の質の向上が目的でも、町の予算に組み込むことは疑問。

私の質問に対し明解な答弁を得られないまま、一般質問は終了。

【その後】
指摘事項は持ち越しのままでしたが、事業が展開される前には必ず「補正予算」が組まれ議会が審議する場面(臨時会の開催)があります。その時までに指摘事項が再検討され新たな方針が提示されることもあるので、臨時会の開催を首を長くして待ちました。
その間、私自身も指摘事項の法的根拠を明確にするため、指定管理者制度について学びました。
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【臨時会に提出された補正予算】

認定こども園開設準備事業(教育振興費) 167万3千円
[内訳] 講師謝礼                 10万円
     職員普通旅費                4万4千円
     月形町認定こども園開設準備業務(委託料) 135万1千円
     諸車賃借料                 9万8千円
     負担金   全国認定こども園協会      6万円
           諸会議             2万円

[事業内容(町側の説明より)]
・認定こども園は(指定管理者として)札親会にやってもらう。
・認定こども園開設準備業務は、札親会に業務委託する。
・委託料の中身は、ほぼ人件費
  臨時職員(1名分)      5時間 × 20日/月 × 11ヶ月
  正職員時間外勤務費(2名分) 2時間 × 20日/月 × 11ヶ月
・委託内容は10項目以上あり(聞き書きにて、正確な文言は不明。)
  合同保育の計画と実施、教育基本目標の調査、指導計画と保育計画の調査、
  教育と保育環境の調査検討、施設の運営基準の調査、職員配置基準の調査、
  教育と保育の実践研修、子育て支援の調査、・・・
・委託料は各委託(業務)内容を積算したものではない。人件費として一括計上。
・幼稚園と保育園の合同保育は、年間10回を計画(1回の経費3000円×10回)

[その他]
・(町が主体の)開設準備組織は[案]の段階。発足していない。保健福祉課、住民課、教育委員会、札親会、大谷幼稚園が幹事会を作り協議する予定。

【質疑を通して明らかになったこと】
私の質問は3回の規定回数を超えたため、そのほとんどが「休憩中」という扱いになり、議事録に記載されない状況です。なので、今後その質問・答弁内容に問題があったとしても検証できず、言った・言わないの水掛け論になりかねません。よって具体的な質疑の内容について触れられません。
ただ、私の反対討論の中で問題箇所に触れていますので、そこから報告します。

■現在、認定こども園条例の制定も指定管理者の指定(議決)も行われていない段階で「札親会にやってもらう」と明言することは、指定管理者制度の手続きを無視していて法的に問題があると考える。町長は「問題ない。(開設時期の)平成28年4月までに行う。」と言っているが、本当か? もしどうしても札親会にやらせたいのであれば、先に条例の制定と指定を行うべき。

■指定管理者に指定する予定の札親会に、計画や方針の調査を行わせるのは問題があるのでは? 本来、幼児教育の方針や計画は町が作り、それに対して具体的な事業の展開を(複数の)業者側が提案、その中から最適なものを選び指定するのが手順。業者と一体となって方針や計画を作ったのでは検証も最適化もできない。指定管理者制度の利点を活かせない。

■札親会への委託料は各事業の積算とそれにより発生する人件費の計上ではなく、一括した業務量に対する人件費となっている。また委託事業の実施にあたっては(指定管理者制度による協定の範囲内の)保育業務とのやりくりを念頭においた設計になっている。
指定管理者制度では、協定の範囲内の業務(花の里保育園の業務=行政の代行)と新たに発生した委託業務(認定こども園開設準備業務)は明確に分けなければならず、委託業務部分に事業者の裁量はない。今回の事業設計に問題がある。

■「開設準備の主体は町の開設準備組織である」とのことだが、この会議に出席する大谷幼稚園関係者への費用弁償は計上されていない。花の里保育園側の分は委託料の中に含まれるのか? 
開設準備組織が事業の主体なら、会議の費用弁償を計上すべき。花の里保育園関係者へも委託料ではなく費用弁償として支払うべき。事業設計に問題があるのではないか?

■指定管理者制度では、指定管理者を[行政の機関][行政の代理]と位置付けている。このことから指定管理者に対して補助金は支出できない。教育長が言うように「認定こども園開設に向けた全体の研修であり、委託事業の1つ」であったとしても、使途目的が職員の研修であれば補助金の一種と捉えることもできる。問題があると考える。


【他の議員の意見】
以下の趣旨の質疑(楠議員)と賛成討論(鳥潟議員)がありました。

■町がやろうとしていることは理解する。しかし、やり方が悪いのではないか。町が主体となる姿勢が見えない。町のリーダーシップを示して欲しい。
   ↓
町長・教育長からの答弁「教育委員会が中心になって進めて行く。」「法に触れない形でしっかりやっていきたい。」「予算の使い方が説明できるようにやっていきたい。」

■今回の議論が「指定管理制度に適合するか」という法律論や監査的な方向に行っているが、議員が議論すべきは「町民のためになるかどうか」の政策論。保護者や子ども達が円滑に移行できるかは重要な視点。

■近年、指定管理者制度による官制ワーキングプアや保育士等の不足が問題になっている。また、平成27年度には法律改正(子ども子育て支援法の施行)もあり、現場の混乱も考えられる。指定管理者(事業者)に配慮が必要であり、事業者を変えることが必ずしも良いとは言えない。そういう時期ではない。

■認定こども園開設開設にあたっては保護者や子ども達に不安を与えないよう準備作業にあたって欲しい。「予算執行にあたって、疑念の起きないようにやっていく。」とのことなので、議員からの指摘事項も踏まえ、町長と教育長がリーダーシップをとって進めて欲しい。


審議の結果、採決となり 賛成8・反対1(宮下)で、原案通り可決しました。

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