2013年03月29日

これは表面的なこと。問題の本質は・・・【特別職の退職手当組合負担金/誤認問題】

平成25年度予算特別委員会で明らかになった[特別職退職手当組合負担金]に関する問題について、現在分かっている範囲で説明します。

これを説明するには、3年前(平成22年6月)の渡部前教育長の辞職の時点までさかのぼります。
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当時、月形町は『高額切手紛失事件』の真っ直中。
平成22年3月の予算特別委員会で「寄贈された高額切手の存在」が指摘され、町長が「確認する」と答弁。その後、この件に関し何の説明もないまま6月の定例会を迎えました。が、この時既に渡部教育長(当時)は辞任していて、理由は、事件現場であった教育委員会の最高責任者であったから。

この辞任は非常に唐突で不可解な点がありました。定例会が6月15日に始まるにもかかわらず、6月7日に渡部教育長から辞表が提出され、9日に町長が受理。しかも、この辞任について町側の説明がないままに定例会が開会。議会側からの「緊急質問」によって初めて「教育長が辞任した事実」を理事者が説明したのです。辞任当時、渡部前教育長は事件への関与を否定していました(のちに認知していたことを認める)。

この後、全員協議会や臨時会で事件の全容がおおむね解明されたわけですが、その中で理事者から「教育長には退職金の受け取りを辞退してもらう」旨の発言がありました(平成22年第2回臨時会)。
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その後、平成23年度予算特別委員会(平成23年3月)、平成24年度予算特別委員会(平成24年3月)において、以下のような質問がありました。
「教育長が受け取らなかった退職金はどうなるのか?」
「いつ、月形町一般会計に入ってくるのか?」
「どの科目に入るのか?」

その時、土橋副町長(当時)からは
「退職手当組合から支払われなかった退職金は、負担金支払いと相殺される。」
「3年に1度の清算になっている。次の清算年は平成25年度。」
との答弁がありました。


そして今年。平成25年度予算特別委員会。

今までと変わらぬ負担金の額に質問が出ると、三浦副町長から
「渡部前教育長は退職金の受け取りを辞退したので、退職手当組合から(渡部前教育長に退職金は)支払われていない。また、受け取りを辞退した場合に退職手当組合から月形町への返金はない。負担金との精算行為は一般職の場合には行われるが、特別職にそういう制度はない。」
との答弁。あわせて桜庭町長からは
「今回、退職手当組合に確認して初めてわかった。間違った認識で申し訳ない。」

つまり、渡部教育長に支払われるべき645万9千円の退職金は、退職手当組合のものであり、月形町には一切返ってこないということ。なお、特別職の退職金は全額税金から在職期間中の給与額に合わせて(負担金という形で)積み立ててきたものです。
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予算委委員会で事実がわかり、その後に開かれた全員協議会で、退職手当組合や手続きについての詳しい説明がなされ、それに対して議員から意見が続出しました。内容を整理すると

[退職金そのものについて]
◆退職金600万円は、月形町にとって大切な税金を積み上げたお金である。
◆渡部前教育長は町へ寄付する意向があったのに、こんな形で600万からのお金が消えてしまったとは。事務に問題があったのでは?
◆退職金の受け取りそのものを突き詰めていくと切手事件の処理の問題まで遡らなければならない。(町内で物議を醸し時間をかけて出した結論であるので)もう戻りたくない。
◆前教育長の気持ちが実現しなかったのは残念だが、仕方ない。

[説明の間違い、手続きに関して]
◆3年間、負担金との相殺される=町に戻ってくると聞かされてきた。間違ったこと説明してきたとは!
◆制度を理解していない=職員のレベルが低い=責任問題
◆行政は法に則って仕事をしている。税制や税率が変わったのを知らずに徴収していたら「知らなかった」では済まされない。それと同じではないのか?
◆3年前に前教育長が退職金を受け取らない手続きをする際、「退職手当請求権放棄書」を書いて提出している(この書類を書かなければ手続きが完了しない)。土橋副町長は平成24年度予算特別委員会で「本人は(退職金を)請求していない。」と説明していたが、請求権放棄書を書いている以上、請求しないのではなく放棄したという解釈になるはず。戻ってこないのは当然。このような手続きをしておきながら「制度を理解していなかった」と言うことにはならない。
◆副町長の認識違いに対して[違う]と伝えられなかった、行政内部の問題は深刻。
◆処分や謝罪では済まない深刻な事態。内部改革が必要。

[理事者を擁護する意見]
◆制度の間違いは大きな問題であったが、実害はなく、許されないことではない。
◆誤った説明をしたことに問題はあったが、これ以上どうしろという話にはならない。
◆町長は「本会議でお詫びをする」と言って自らの責任にも触れている。
 
[今後について]
◆町民もこの問題に関心を持っている。町民に説明できるように、町長の考え方を示して欲しい。
◆今の意見を受け止め[業務改善委員会]などを立ち上げては?
◆改革の中身を具体的に、期限を明確にして示して欲しい。
◆もっと最高責任者の認識をしっかり持ち、深刻に受け止めて欲しい。
◆町長はトップとして謝罪だけで済ませるのか? 町民に対する誠意は?
◆責任の取り方、対処の仕方など、6月議会まで時間をかけて結論を出しては?


質疑応答によって明らかになった町長の考えは・・・

▼教育長が寄付する気持ちがあったとは一度も聞いていない。
▼事件の性格上、退職金を受け取らないのは当然。だからと言って(一度受け取らせて)寄付させることも問題だと思う。
▼退職金が戻らないことは広域退職手当組合の仕組みであり、理解して欲しい。
▼退職手当組合の仕組みを誤解していたのは土橋前副町長。職員は理解していた。
▼今回の件で自分も反省するが、職員にもしっかりやって欲しい。今後については、組織の見直し等しっかりやっていきたい。
▼今回の問題に対し、本会議でしっかりお詫びしたい。町民に対しては町報でしっかりわかるように説明する。
▼自らの処分については、本会議で謝罪することで対応したい。減俸だけが処分ではないと考えている。それに、3月定例会で(病院事務処理の責任をとって)10%1ヶ月の処分をしている。今回の件もそれと合わせて考えてもらえれば・・・

なお、町長は定例会の最終日、本会議の開会前に【謝罪文】を読み上げました。
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私は今回の件で、最も問題があると考えるのは『退職手当組合の仕組みを誤解していたのは土橋前副町長。職員は理解していた』というところ。

今まで3年間毎年予算委委員会では質問が出ていたのに、確認しようとしなかったことがまずは問題。くわえて、職員が制度を理解していたのであれば、その間違いを指摘できない組織とはどういうものなのか。行政は法や条例によって仕事をする組織。組織の上下以上に法の遵守が優先されなければならない。風通しが悪いことで違法な行為や間違いがあったとすれば、組織そのものに問題があると言える。その組織を管理する側の認識が相当低いと言えないか。

そして全て土橋前副町長に問題があるように言っている町長はトップとしてどうなのか。責任の取り方は減俸が全てとは思わない。しかし今回の場合、謝罪だけすれば全てOKでもない。組織の長として真っ先に取り組むべきことがあるはず。

今回の問題の本質は町立病院医療事故関連の処理とも共通すると考えます。つまり役場内部の統制と理事者の問題

それぞれの問題は、時期も発生現場も違っていて単発で起きているように感じられますが、実際は根っこで繫がっていること。だからこそ深刻で重大だと私は考えます。

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