2013年02月22日

データは次の政策への一助【まちづくり常任委員会 2013.2.21】

雪が降りしきる中、2月21日(木)午前、まちづくり常任委員会が開かれました。

この日、千歳、江別、札幌、岩見沢方面がヒドイ雪で交通網がストップ。月形町内を走るJR学園都市線(札幌−新十津川)も終日全線不通。月形高校は臨時休校でした。

ですが、月形町内は雪が降りしきるものの対応範囲内で、小中学校も町の機能も普段通り。豪雪地域だけに底力があります。


さて、今回の所管事務調査は産業課分野の「平成24年産農産物の生産状況」「(昨シーズンの)豪雪による生産への影響」。他に、年度末なので「報告書の取りまとめ」も行いました。

昨冬は記録的な豪雪で、降雪は14m(例年の約1.5倍)、最高積雪深は2.6mにも達しました。農業施設(特にパイプハウス)の被害や融雪遅れが発生。一方、夏は高温期間が長く、こちらも例年以上。
様々な気象変化を受け、農産物の生産状況がどうなったのか。また、豪雪被害を受けたパイプハウス復旧に対して行われた補助(復旧費に対して、国30%、町50%の補助金支出)がどのように使われ、どのような成果を上げたのかが、今回の調査のポイントです。

以下に、調査内容の概要を示します。
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1.平成24年産農産物の生産状況

《米》 融雪が例年より2週間程度遅れたが、融雪剤の散布や育苗ハウスの早急な再建
   や修繕で、田植え時には若干遅れた程度。夏の高温で生育・登熟も順調に進み、
   最終的に平年以上(作況指数 107:南空知)の作柄。

《小麦》融雪剤の散布や圃場排水対策等に努めたが、一部発生した雪腐病部分は廃耕。
   それ以外の生育遅れは好転により回復した。登熟後半期の水分不足や遅れ穂の
   影響で、一部に細粒麦や未熟粒が混入したものの、品質は良好。規格外も含めた
   収量は前年並みだったものの、1等麦の比率が高く、良好な作柄。
   (前年比:作付面積 100%、出荷量 99%)

《大豆》秋播き小麦の廃耕による作付け転換や播種作業の遅れにより生育が心配された
   が、その後の好天により生育は回復、おおむね順調に推移。計画以上の取り扱い
   実績になった。(前年比:作付面積 114%、出荷量 215%)

《花き》大雪によるパイプハウス倒壊などの被害は甚大で、復旧は必ずしも順調には進
   まなかった(ハウス棟数が多い上、再建・修繕を自力で行うことによる)。
    このため、作付面積の減少、品目や作型の変更を余儀なくされた。また品目に
   よっては、8月後半からの市場相場の低迷や高温による品質低下が影響し、販売
   取扱高は前年から大きく減少した。
   (前年比:作付面積 92%、販売量 91%、販売額 84%)

《果菜:メロン・カンロ・スイカ》 ハウス、路地とも圃場の融雪促進に努めたが、
   大雪によるパイプハウス被害の影響は大きく、作付面積は前年より約2割減少。
   定植は例年より遅れたものの、好天により生育(着果)は良好に推移し、収量・
   品質とも前年並みになった。
   (前年比:作付面積 78%、販売量 93%、販売額 97%)

《その他:カボチャ・生食トマト・ミニトマト・加工用トマト》 
    生食トマトの作付面積が77%と大きく減ったものの、それ以外は95%程度で
   推移。販売量、販売額はいずれも平年以上。好天による。


2.豪雪による生産への影響

《被害と対策概要》
◆記録的な豪雪により、農業用パイプハウスを中心に被害が発生、
 全損壊・部分損壊を合わせた被害は1,161棟で、全棟数の6割に及んだ。
◆月形町の農業取扱高は、米が5割、施設園芸作物(花き、果菜)が4割。
◆パイプハウスは米の育苗、花きや果菜の栽培に必需。
 対策を打たなければ月形町農業の衰退に繫がるという危機感から支援策を打ち出す。
◆パイプハウスの復旧支援
 ・・・雪害で壊れたハウスを復旧する場合、普及に要した金額(資材・道具)の
   30%を国から(被災農業者向経営体育成先事業=3,400万円)
   50%を町から(5,820万円)補助。
   JA月形町は無利子融資を実施。

《豪雪による農作物生産への影響》
◆農業者は営農のため、融雪促進、排水対策、ハウス復旧など、農業者は早期から
 豪雪対策に取り組み、多くの経費と労力を費やした。
◆作目別の生育状況は上記1.に記載。
◆豪雪の影響を大きく受けたのは、パイプハウスの被害が甚大だった施設園芸作物
 (花き、果菜)。作付面積が減少したほか、品目や作型の変更を余儀なくされた。

以上が「まちづくり常任委員会」での調査内容ですが、このあと個人的に担当課に情報収集する中で分かったことは、

◎ハウスの復旧に際し、作目別に状況が違っている。
・米:被害を受けたハウスの多くがおおむね元通りに復旧。
   多くは補助を活用し、新しいハウスと入れ替えた。
・花き:ハウス被害の棟数も割合も多く、全てを元通りには復旧できていない。
   豪雪被害を契機にハウスの建て方を変更(雪害対策)、集約(経営改善)した
   農家も多い。また、新品を購入するより自前での修繕が多く、復旧単価は低い。
・果菜:花きほど被害棟数はないが、花きと同様の傾向。
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【個人的考察】
上記の◎が示すように、豪雪被害からの立ち直りは作付け作物によって違っていました。

米は戸別所得保障制度などにより作ることで安定した収入が得られることから、何よりもまず育苗ハウスの確保が重要な経営課題になりました。確実な収入を得るためにも、時間をかけずに復旧できる新しいハウスの導入が進んだと言え、今回の豪雪被害で、ある意味、生産体制改善がはかられたとも言えます。

一方、花きは生産に対する補償はなく、今回の被害ではいかに経費を抑えるかが経営のテーマ。そのため、豪雪被害が引き金となって経営縮小や集約化が加速したとも言えます。ある程度の復旧はできたものの、生産体制が維持できるかは微妙な状況です。社会の動きも含め、今後の動向に注目必須です。

個別の状況は様々ですが、今回の補助制度が有効だったのは言うまでもなく、制度のお陰で規模縮小がこの程度で収まったとも考えられます。何も手を打たなければ、もっと悲惨な状況になっていたことでしょう。

話題は少し広がります。
月形町は中山間地域なので、国の補償が手厚い土地利用型農業(米、麦、大豆など)を推し進めるには限界があります。地域経済や人口の維持を考えるならば、労働集約的農業である施設園芸(花き、果菜、野菜)の振興は欠かすことができません。TPPへの参加も不透明な現在、農業の底力をつけるという意味でも、町独自に施設園芸の振興策をとらなければ、月形町の農業がなくなってしまう・・・私はそんな危機感を持っています。

施設園芸、特に花きは、昨今の景気動向などから苦戦が強いられています。未来の展望が開けているとは必ずしも言えません。しかし、月形町が生き残るにはなくてはならないとも考えます。

それに「花の里」として力を入れてきた歴史があります。町中に花の名前の町営住宅が建ち、街頭の飾りも花がモチーフ。町報も保育園の名前も「花の里」。それに花をメインにした「新規就農者の誘致」。好むと好まざるとに関わらず、「花き」は月形町の政策の柱でした。だからこそ、現状をしっかり認識し、次なる政策を打っていかなければならないと思います。

それは必ずしも「支援」ではなく「選択と集中」なのかもしれません。
それでも「花き」は政策の大きなウエイトを占めているのは確か。展開や決断を避けては通れません。そう考えると、この豪雪は一つの転換点であることは確かです。


次の政策を打つにも、まずは現状認識が重要です。そのためにはデータ分析。

行政は過去から現在まで様々なデータを収集しているのに、残念ながら充分な活用ができていません。また、それを議論する議会も、データをきちんと読めていない。それに加えてじっくりと議論することが苦手です。

イメージで話をすることは簡単ですが、イメージは構築されるまでに時間を要しますし、主観も入ります。時代の流れが速い現代では、イメージで政策を論じているととんだ間違いをおかしかねません。データ分析が絶対に必要です。

行政も議会も、もっとデータを活用して、政策立案に活用を!!

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