2012年06月08日

【第17回全国小さくても輝く自治体フォーラム】その1

5月26日〜27日、北海道「写真の町」東川町で開催された『第17回全国小さくても輝く自治体フォーラム』と、あわせて開催された「アフター研修(現地視察):東川町、剣淵町、西興部村、下川町」に参加してきました。

今回のテーマは「育ちあいと自然エネルギーを活かす自治体づくり ”写真甲子園“と”君の椅子”のまちから」です。
開催地の東川町は旭川市の隣に位置し、「写真」によってまちづくりを展開=数々の施策を「写真」がつないでいます。「君の椅子プロジェクト」は生まれてくる子供に「君の居場所」をプレゼントするというもの。地場の木工を活用すると共に「写真」とも関連づけていて、心温まる施策に発展しています。

いずれも、多くの自治体が苦手とする「ソフト事業」を柱にして地域経済活性化まで発展させた良い例で、このフォーラムの道内開催地として最適地だったと感じたのは私だけではないでしょう。私も以前から興味を持っていた自治体であり事業だけに、丁寧な解説のもとに現地の雰囲気を感じることができて、本当に有意義でした。


この『小さくても輝く自治体フォーラム』は、市町村合併を契機に、小規模自治体の交流を通して魅力を高め、小規模自治体の存在意義を全国にアピールするために設立されました。第1回は平成15年2月の長野県栄村。全国各地で14回開催された後、恒久的な会員組織として『全国』の冠をつけ今に至っていて、北海道で開催されるのは今回が初めてです。

会場には全国の「小さくても輝く自治体」から首長・職員・議員、そして開催地の東川町民にみなさんが会場からあふれるほど(300〜400人)、大盛況でした。
私は近隣の女性議員に誘われ今回初参加でしたが、同じく初参加として桜庭町長(26日のみ)の姿を会場で見かけました。(職員が同行していなかったのは残念でしたね。)

さてフォーラムの内容ですが、実に多様で盛りだくさん、いずれも心に響く内容でした。全てを紹介できないので、私の気になったキーワードのみご紹介します。
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記念講演「内から輝く自治体をつくる」   講師:福原義春氏(資生堂名誉会長)

■「文化」の視点から人と地域を考える
・文化=人間の生き方。よりよく生きようという思い=創造的な過程と行為の産物
・文化力=地域の人間力
・文化力による建て直し→文化の地方分権化
・日本人は、外(他)から文化を持ってきて新しくつくり変える力がある
・文化力、文化資本=人間性と富の力
◎地域に暮らす人から湧き上がる生活の中の文化の活性化 = 内から輝く
◎地域に暮らす人が満足すること = 人が輝く (自治体運営の王道)

・その政策は、まず地域の人々の心や暮らしを豊かにするものかどうか
・ローカルの大事さを理解した上で、グローバルな価値を生み出す
・「人間的価値観」が必要
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第1分科会「育ちあいを活かす自治体づくり — 文化・福祉・子育て」

■剣淵町「絵本の里作りがはぐくむ子ども達」
・絵本作家・編集者との出会い
  → 絵本の里をつくろう会(男性中心) 
  +ふるさと創成1億円 → 絵本大賞
  → お母さんたち中心+お父さんとで共に展開(まちづくりの拠点へ)

■奈井江町「地域包括ケアと住民主役のまちづくり」
・病診連携(H6〜):継続診療と家庭医機能 → 地域で安心した医療提供
・子ども権利条例(H14〜)、まちづくり自治基本条例(H17〜) → 子どもの社会参加
  ○町長と語る会:地元小・中・高校の子ども達と語り合う(各学校で年1回)
   =子どもからも積極的に参加してくる。子どもは発想が豊か、意見を聴く機会を
  ○子どものための検診実施:小児期からの生活習慣病予防(希望者のみ、無料)

■西興部村(にしおこっぺむら)「1000人の村は今・・・」
・人口1000人 30%が福祉関連人口 独身者向け住宅が村内に100戸
・住民福祉施策が充実
  ○特別養護老人ホーム(88床)、ケアハウス(26室30名)、高齢者住宅(34戸)
  ○高齢者見守りシステム:光回線を使用。家庭内にセンサー3カ所設置。84戸
  ○デイサービス・ホームヘルパー利用料無料
   (ただし、介護保険料(平成24年〜の基準額) 5100円/月)

■東川町「東川町の子育て」
・上水道のない町(全戸井戸水)、写真の町(S50〜)、
 君の椅子プロジェクト(H18〜)

・三位一体の子育て支援
 [母子保健(保健師)]
  特徴:全世帯管理(全ての世帯ファイルを地区別に管理)
     =戸籍係と連携、母子管理表は母子手帳発行時に
     作成し、就学時に世帯ファイルへ
 [子ども発達支援センター]特徴:親支援、発達支援
 [幼児センター・子育て支援センター]特徴:子ども未来課(教育部局)の管轄
  ○幼児センター(子育て支援センター含む)
   ・東川の子どもは幼稚園と保育園に分け隔てなく教育・保育が受けられる環境
   ・職員数:58名、幼児センターの定員270名
   ・幼小連携:小1との交流事業 年4回、子ども・教員での情報交換

・子どもに関する施策の実施主体が[子ども未来課(教育部局)」=学童保育も含む
 計画や事務等は福祉部局が担っている部分もある(◎誰のための仕事かを考えて対応)

・住環境の整備は子育て環境に通じる
・「子育て」を鍵に大人も育っている。
 子どもがどうやって(一緒に)「まちづくり」に関わっていくかを考える
・「子どもがいて良かった」と思えるよう
 「あなたがこのまちの主人公だよ」というメッセージを伝える施策
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「人」を中心にした施策とその実践・・・・・

口ではそう言っていても実践につなげるのは困難なことと思っていました。しかし同じ北海道内にこれほど何気なく実践している自治体があるとは! 

東川町では「人を中心にした施策」が当たり前に行われているために、
「子ども未来課が教育部局であることの問題点は? 福祉と教育部局の連携は難しいのでは?」
との質問に発表者が戸惑う場面があり
「(何が問題になっているのか・・・?)誰のための仕事かを考えれば何の問題はありません。」 
との回答。視点を変えると意識と展開が変わってきて、ごく普通に理想に近づけるのだと改めて感じました。こういう風土が育っている東川町に感動したのは言うまでもありません。

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