2012年04月08日

「北海学園大学・第72回現代政治研究会」に参加して

平成24年4月7日午後、「北海学園大学・第72回現代政治研究会」に参加、好奇心と向上心を刺激され、今抱えている課題の糸口も見えてきました。

この「現代政治研究会」とは、北海学園大学法学部の先生方と大学院生、そのOBからなる研究会で、既に15年以上の歴史があるとのこと。毎回一人の先生が報告者となり、研究内容について報告と問題提起を行って参加者と議論や意見交換をしているそうです。
私はメンバーではありませんが、今回の報告者である森啓先生にお声かけいただき参加する機会を得ました。私と同様の一般参加者(勉強会等で顔を合わせる方々)も多く、普段の研究会より開かれた雰囲気だったようです。(参加者約30名)。

さて、今回の研究会のテーマは『市民行政の可能性』、講師は森啓先生です。
その内容は森先生のブログ「自治体学」で詳しく述べられているので、ご参照ください。

ここでは私の解釈と感想を報告します。
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■報告「市民行政の可能性」を私的に解釈すると・・・

・地方自治、市民自治へ向かおうとする今、[行政]とは何かをもう一度考える必要がある。
・社会の現状を見ると、〈これまでの行政〉の枠や概念を変えないと解決できない問題がでてきた。

・〈これまでの行政〉は、いつの間にか中央集権(中央政府=国に責任と権限が集中している状況)
  が進む仕組みになっている。大学で教える行政法学、公務員の基礎となるの地方公務員法、
  地方行政を規定する地方自治法でさえも、考え方の基礎は〈国が統治する=統治理論〉である。
・〈これまでの行政〉は、法を執行するための機関(=法を守ることが最優先の公務)。

・〈市民自治のための行政〉は、地域課題とその方策を盛り込んだ[政策を実行する]ための機関。
・〈市民自治のための行政〉における公務とは、公共事務、自治事務のこと。統治事務ではない。
・〈市民自治のための行政〉では、不作為(為すべきことをしなかった)の責任が問われる。
・[市民自治]や[政策の実行]は公務員だけでは解決できない。市民の主体性が必要。

・[市民自治]を進める方策として《市民行政》が考えられる。
・《市民行政》とは、市民が行政職員(公務員/役場職員)と同じ仕事を役場内で行うこと(※)
  例)過去には庁舎の受付/清掃/警備も公務員の仕事だった → 現在は外部委託されている
    総合計画や行政調査も表向きは公務員の仕事 → 実態はコンサルタント等への外部委託
    公共施設の管理 → 指定管理で民間へ  
    図書館は公共施設 → 「ニセコ町あそぶっく」は町民のみで運営
 ※この件に関しては会場からの意見あり。次に詳しく。


■《市民行政》に様々な意見・見解

○市民が行政の仕事をになうことは可能。既にコンサルタントの活用や外部委託、指定管理制度など
 様々な方策がとられている。変化している。
○《市民行政》とは、現状取り入れられている補助的な作業(パートや嘱託)ではなく、企画・立案
 も含めたもの。ニセコ町あそぶっくの活動も現業に近く、まだ充分ではない。
○市民が役場内で職員と同様の仕事をすることで、市民の主体的参加が促される。職員も変わる。
○市民が行政に参画しても、いつしか包摂される(取り込まれる。同質になる)のではないか。
 市民の参画が有効に働かない可能性がある。
○市民行政を進める過程で注意すべき点がある。
 大阪・橋本市長によるハシズム状況下では、市民は職員の監視役となり得る。危険性がある。
○市民行政まで一足飛びに行く必要があるのか? 地方公務員法の改正で対応できないか。
○海外では(防衛や外交を除き)役所の仕事のほとんどをNPO等が担っている。
 行政の変革は難しく、無理かもしれない。ならばNPOの活用をもっと積極的に進めるのも方策。
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■感想

森先生による「市民行政の可能性」については、先生のブログや昨年11月に行われた「市民参加手法の公開研究会」でも取り上げられた内容なので、私なりの考えも持って臨みました。が、それぞれ専門分野を異にする先生方の多面的な考察は非常に興味深く、「なるほど、そういう視点もある」と納得させられ、考えも広がりました。

私は法学的な基礎がない中、実践経験から理想の行政像を描き議員活動を続けてきました。その中で森先生の提唱する〈市民自治〉は共感するところが多く、理解もできます。
しかし、本会議場で役場管理職や理事者と対峙すると全くかみ合わない場面がしばしば。同じ方向を目指しているはずなのに、なぜこうも理解し合えないのか不思議に思っていましたが・・・この研究会での議論で納得することができました。

役場職員が入庁して最初に受ける初任者研修、自治大学校での教育あるいは先輩職員の指導も、全ては既存の行政法学(地方公務員法、地方自治法を含む)です。知らず知らずのうちに中央集権の統治理論がすり込まれ、いくら勉強熱心でも、時代の変化になじめない、変化を受け入れられない土壌が形作られていたのですね。

それでも今回参加していた数名の自治体職員からは「実態に即し現場は変わってきている。」とあり、大学の先生からも「行政法学の講義も多少変化してきている。」との発言もありました。明るい兆候です。

地方自治、市民自治を進める上で役場職員と町民(市民・住民)の相互理解と協力は必須。ならば、議員である私の仕事はそれぞれの橋渡しをすること。基礎概念の違いを充分に頭に入れて、お互いが理解し合える思考の道筋を作っていくことが私の役割なのでしょう。

最近、行政との分厚い壁にぶつかり、打開策が見つからないまま手をこまねいていた私ですが、この研究会で少し光が見えてきました。
参加できて良かったです。ありがとうございました。
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【備忘録として】・・・心に残しておきたい言葉
☆ 「知っていること」と「解っていること」は違う。
☆ 今、その時に行動・発言することが、特定の権力を持つ人のやるべきこと。
☆ 参加しながら抵抗する場面もある。大事なのは自分が決定すること。自分で考えること。
☆ 自己革新が大切。

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