2012年03月28日

【一般会計予算に対する附帯決議】の意味

定例会から間が開いたり、他の記事と前後してたりで、ちょっと食傷気味に感じている方もいらっしゃるかも知れませんが・・・もう少し我慢してくださいね。

先の日記にもあるように、今年の定例会には【月形町議会初】というものがいくつもありました。そのなかで、「平成24年度月形町一般会計予算に対する附帯決議」もまた重要な意味があったと考えています。

そもそも【附帯決議】とは・・・
「議決された法案・予算案に関して付される、施行についての意見や希望などを表明する決議。法的拘束力を有しない。」のこと。議会の意思表示と捉えればわかりやすいと思います。

議会が意思表示をする別の方法として「委員長報告」というものもあります。こちらは議会の中で日常的に行われているもので、今定例会においても、予算特別委員会に付託された議案(平成24年度の各会計予算と関係する条例)を採決する前に行われました。個別審議や総括質疑で様々な指摘や意見があったことから、いつにもまして厳しい内容になりました。

この流れを踏まえた上でもなお附帯決議(内容:予算の執行に当たっては、町民の安心と安全、地域経済活性化を念頭に、事業の緊急性を加味しながら慎重な執行をすること。)を行ったのは、平成24年度が特別な年になると考えたからです。
※私は発議者として提案理由説明を行ったので、私の考えを基に説明します。


大きくは【町の財政】の問題です。
一般会計は地方交付税の恩恵を受け維持できていて、様々な住民サービスも盛り込まれています。一方、特別会計(特に、国保/介護/病院)の危機的状況は平成24年度で3年目になります。過去の予算委員長報告でも触れられてきましたが、町全体としては何ら改善の兆しは見られず、今年も同様の傾向です(その背景には国の制度的な問題があるのですが、それはそれとして現実的な問題が目の前にあります)。

昨年は国保税が大幅に引き上げられ、今年は介護保険料の大幅引き上げです。町民の負担感が増す中、町民/理事者/議会が危機感を共有することが一つの狙いになっています。

それから【今冬の豪雪】です。
月形町の今冬の豪雪は観測史上最高であり、70歳にもなる人たちが「こんな雪は初めて」という程でした。町は現在、地域経済に影響を与えるパイプハウスの被害に対して助成をする意向を示していますが(報道では1億円規模)、被害はハウスだけではないはず。雪融け後、公共施設やインフラ、柵などの公共物の予期せぬ補修が必要になるでしょう。それらの修繕費を捻出しなければなりませんが、今回議決された予算は豪雪被害が深刻さを増す以前に組まれたものなので、ほとんど見込まれていません。

今回の提案理由で触れてはいませんが【国の動向】も頭の隅にありました。東日本大震災後1年が経過し、いよいよ本格復興が始まるでしょう。国の財政問題や社会保障と税の一体改革の動向、地方分権と税源移譲、消費税率改定・・・。地方交付税に頼る財政運営をしているだけに、国の状態が不安定で先が見えないことも危機感を募らせています。


月形町議会初の附帯決議でしたが、議決の際の反対討論で堀議員から「当たり前のことを言っているのだから、あえて附帯決議にしなくても良いのではないか。委員会報告に盛り込まれていることで充分ではないか。」とありましたし、一部の職員等などからも同様の意見を聞きました。

私は「委員会と本会議の議論は全くの別物」と考えています。
委員会は議会と実務担当者との議論ですが、本会議は議会と理事者の議論です。便宜上、本会議に職員が出席していますし答弁もするでしょうが、執行機関の最高責任者である町長(理事者・執行者)と正式に対峙できる唯一の場が本会議です。だから、本会議の附帯決議は理事者に対する議会の態度表明になると考えます。

以下に議決された附帯決議を掲載します。
なお、本会議における附帯決議は賛成6(大釜、宮下、楠、金子、宮元、平田)、反対3(堀、鳥潟、金澤)で可決されました。
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     平成24年度月形町一般会計予算に対する附帯決議

 月形町財政は、近年の地方交付税増額の恩恵で財政規模を維持することができ、多様な住民サービスが提供できている。しかしながら、経常収支比率は高止まりし、他会計へのルール分以外の繰り出し金が増えている実態もある。総合的に見て、必ずしも安定・良好な状態とは言えない。

 特に特別会計においては懸念材料がある。介護保険事業特別会計は年々支出が増大、会計規模が膨らんでいて、平成24年度予算では基金の取り崩しと保険料の大幅な値上げでバランスをとった。国民健康保険事業特別会計においては、平成23年度の保険料の大幅値上げで平成24年度の収支均衡はとれているものの基金は底が見え、綱渡り的状態は続いている。また町立病院事業会計においては数年来の赤字体質は変わらず、事業の展開によっては追加の繰り出し金も視野に入れなければならない。

 これら財政の動向は国の政策に左右されるところがあり、町独自の改善では及ばない側面もある。しかしながら、多くの自治体が同様の条件下で最善を尽くすべく努力している状況でもあり、月形町も町民生活の向上と地域経済活性化、財政健全化を目指し更なる努力が必要と考える。

 加えて、この冬の降雪・積雪は、豪雪地帯の月形町においても未曾有の事態となった。大雪被害は町民生活や地域経済全体に深く及び、今後も雪融けとともに被害の拡大が憂慮される。これらは予算案作成以降の事象でもあり、今後の復旧にあたっては更なる支出の増大が見込まれる。

 このような状況を鑑み、平成24年度一般会計予算全般について、以下の点を強く要望する。

                       記

 予算の執行に当たっては、町民生活の安心と安全、地域経済活性化を念頭に、事業の緊急性を加味しながら慎重な執行をすること。


この内容は、他の特別会計、事業会計についても同様である。

以上決議する。


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