2011年10月24日

平成23年度 市南行政区防災訓練

20111023b.jpg今年で3回目を迎える市南行政区の防災訓練が、10月23日(日)午前、多目的研修センターを会場に行われました。参加者は約60名。今年の防災訓練はやはり東日本大震災を意識したものとなりました。

今回の私の役割は、過去の防災訓練担当者としてアイデアを提供することと、運営のお手伝いをすることだったので、過去2回の防災訓練に比べ随分と楽をさせていただきました。
【過去の防災訓練の様子 → 第1回、 第2回(その1その2)】

イベントは企画を形にするまでの準備と調整が非常に大変だというのを身に染みて感じているので、無事終了となってホッと一息です。講演や実演を引き受けてくださった皆さん、様々な形で協力してくださった関係者、そして企画・運営の中心になった担当者に感謝です。ありがとうございました。

さて、今年の防災訓練の内容は以下の通りです。
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20111023a.jpg◆IP告知端末による避難勧告◆

  ○午前8時50分、各家庭に設置されているIP告知端末
   (光回線テレビ電話)から「大雨により河川氾濫の
    恐れ。避難場所に避難してください。」
    との呼びかけと、大音量のサイレン。

  ○避難場所(今回は多目的研修センター。
        本来は総合体育館)で避難者の氏名確認
   ・参加者名簿(住民台帳の代わり)で氏名を確認。
   ・名札(布ガムテープにマジックで、姓をひらがなで)記入。左胸に貼る。

◆講演『東日本大震災における被災地保健活動』
    講師:北海道岩見沢保健所 保健福祉企画課 阿倍浩美氏◆

  ○現地での保健活動で見えたもの【宮城県気仙沼市唐桑地区】
   ・ 自治会が全てを把握している地区で、支援物資や薬も戸配
   ・ 避難先が避難所であっても自宅であっても同じように対応できる(不満が少ない)
   ・ 支援して欲しい内容が明確=支援しやすい
   ・ 保健師→自治会長→地域、地域→自治会長→保健師
   ☆ 住民相互の絆が支えになっている

  ○被災地の状況から
   ・ 津波以外で壊れている家はほとんどない=地震対策がとれている
   ・ 農村地帯は比較的食糧が手に入った(自家野菜、備蓄品)が、被災後10日過ぎには
     自給自足も限界
   ・ 被災地でのトイレ問題は深刻
    (トイレを尿用と便用にすることで対応していたが、高齢者等には生理的に難しい状態)

  ○ 東日本大震災から学んだこと
   [公助]・震災直後はあてにできない
   [共助]・最も機能するところだが、準備がないとパニックに
       ・ DIGや防災マップ作りは有効
       ・ 名簿等は情報把握だけでは役に立たない。要支援者がどこにいるのか、
         誰がどういう手段で支援するのかを決めておく必要がある

20111023c.jpg◆消防職員による応急・救護体験◆

  ○ 応急担架を作って負傷者を運ぶ
   ・ 毛布を広げ、端から3分の1よりも中心側に
     丈夫な棒を置く
   ・ その棒を幅の狭い側でくるむように、毛布を
     折り返す
   ・ 折り返された毛布の端(2重になった部分)に
     もう一本の棒を置き、それをくるむように
     残りの毛布の端を折り返す
     → 応急担架のできあがり

  ○身近なものを使っての骨折固定法
   ※ 骨折の痛みを和らげ、症状を悪化させないために固定する
   ・ 副木として新聞紙や雑誌、傘やバットなど何でも利用できる
   ・ 骨折部分の上下の関節を固定できる長さが必要
   ・ 副木(今回は新聞紙)を骨折部分にあてがい、上下の関節の外側
    (すねを骨折した場合は、太ももと足の甲)をタオル等できつく縛る。
    余裕があればあと2カ所(膝下と足首)も縛る

  ○AEDを用いた心肺蘇生法
  ○ 消化器の操作訓練

◆非常食の試食◆
20111023e.jpg○アルファ化米 1袋/人(月形町備蓄品から提供)
 ・現在、月形町の備蓄量は500食
 ・今後、人口の1割×2食分=800食 を備蓄する予定
○保存水 500ml/人(月形町備蓄品)
 ・現在の備蓄量は300本
○缶詰 1個/人
○栄養補助食品(SOYJOY)1本/人

『あんしんバトン用心棒(命のバトン)』の説明◆
20111023f.jpg○対象者
 ・ 今年の秋から、65歳以上の高齢者と障害のある人に配布
 ・ 上記以外でも希望者は保健センターに連絡すればOK
○使い方
 ・ 配布された用紙に健康情報や緊急連絡先などを書き込む。
  薬の情報(病院で配布される投薬説明書)も一緒にバトンに
  入れる。
 ・ バトンは冷蔵庫のドアポケットへ
 ・ 付属のシールを冷蔵庫と玄関に貼って、完了
  ○災害時
   ・ 『あんしんバトン用心棒』を持って避難。
   ・ 健康情報、投薬情報、緊急連絡先等の把握に役立つ
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阿部さんの講演内容は、東日本大震災の現場での実体験によるもので説得力がありました。特に印象に残ったのは「支援して欲しい内容が明確だと支援しやすい。」ということ。

災害時に共助や公助を担う側は、目の前の困難をいかに早く解決するかが最も大きな課題になります。支援するために集まってくれるたくさんの方々に気持ちよく効率的に活動してもらうためにも、日頃からのイメージトレーニングと準備、連携が欠かせないと感じました。災害時こそリーダーの存在と組織としての力が求められるのでしょう。

行政区制度になって5年。町内会が高齢化・少人数化する中で、共助の力を高めようと6つの町内会が一つになって市南行政区ができました。まだまだ充分な自治活動はできていませんが、多くの住民が以前よりは広い視野で地域のことを考えられるようになったと思っています。様々な行事を通し、たくさんの住民を巻き込みながら、強くて柔軟で身近な共助体制が作っていきたいです。

それから、今回初めてIP告知端末を使った「避難勧告」の訓練をしました。今年の春から供用開始されているIP告知端末ですが、「町からの定時おしらせ」機能と「テレビ電話」機能は広く町民に理解されているものの、最大の設置目的である「防災」機能はほとんど利用されていません(もちろん利用されないに越したことはないのですが・・・)。

こういう状況で、「避難勧告訓練」ができたことは大きな意味があります。住民側も模擬体験できましたし、行政側も細かな改善点を認識できたのではないでしょうか。せっかく設置したのですから、積極的に活用し「いざというときに備える」体制づくりをしたいものです。

今回の市南行政区の「避難勧告訓練」が呼び水になって、他の行政区でもどんどん体験して欲しいと思っています。

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