2011年02月16日

北海道中小企業家同友会南空知支部・2月公開例会

2月14日(月)は毎月楽しみな中小企業家同友会の例会日。

今回は美唄市の「ピパオイの里プラザ」を会場に一般の方も含めた公開例会として行われ、参加者は50人以上。普段の例会に比べ女性の姿が多かったように思います。

テーマは「地域資源を活用した経営について 〜小さな企業の挑戦!〜」。講師は、地元美唄市で有限会社角屋の代表取締役 高橋幹夫氏です。

角屋といえば、テレビ番組で放映され爆発的ヒットになった「角屋のやきそば」の製造・販売会社。ブーム以降、月形町内のAコープにも商品が卸され目に触れる機会が多い他、先日行われた「空知シーニックバイウエイの可能性」勉強会にも参加されていたことなど、ちょっと気になる存在でした。また高橋幹夫氏が美唄市議会議員であることもあって、興味津々で参加してきました。

講演内容は、製麺業者として起業した角屋が食品を基軸に他業種へも展開していった経緯、主力商品の「やきそば」のヒットの裏側、更なる展開として取り組んでいる「米粉」の状況、そして美唄市における中小企業振興基本条例制定に向けて取り組みなど。

次々と展開される事業(製麺、販売、食堂経営、給食委託)の幅広さと決断のスピードには驚かされましたが、それ以上に、常に「人(従業員)」と「地域」を大事にする揺るぎない企業理念に感心しました。こういう企業が実績を上げることで地域活性化の一つのロールモデルとなるでしょうし、中小企業振興に向けた新たな支援アイデアも出てくるのではないかと感じます。代表取締役であり市議会議員でもある高橋氏、有限会社角屋同様、その動向に目が離せなくなりました。

以下、心に留めておきたい内容を整理してみました。
__。__。__。__。__。__。__。__。__。

『地域資源を活用した経営について 〜小さな企業の挑戦!〜』
  講師: 有限会社 角屋   代表取締役 高橋幹夫氏

■角屋の事業展開
・昭和31年 :小麦粉を麺にして加工賃をもらう製麺業からスタート
        →自社製品を使った駅前食堂で販売(学生向けのラーメンに注力)
・昭和50年〜:(人口流出、若者の減少の影響。抱え込み商売への転換)
        製麺業+官庁内(国設スキー場、市役所、自衛隊)で順次食堂を開業 
・平成18年〜:(確実な収益を目指して)学校寮や養護学校などの給食委託事業へも進出

■事業展開するにあたって
・製麺業を柱に、確実に事業収益の上がる事業を展開(若者のおやつ→官公庁の昼食→学生の食事)
・時代の流れに敏感(時代に合わせて事業展開)
・製麺業は先行き不安(開業当時も7社が競合)。1つのものに固執しない

■テレビ放映前後の「やきそば」事情
・「やきそば」は昔からあった商品だが、コンビニの台頭や若者減少により売上げも減
  様々な商品開発をするも販売は伸びず、製造を中止していた。
・「昔の味」を求めるリクエストに応え、少量復活生産(ポイントは、味と手作り)したところ
 「味付き袋やきそば」としてネットで話題に。その後テレビで取り上げられ爆発的ヒット。
・準備不足の状態でヒットしたため、様々な対処が求められた
 (800食/日の製造体制のところに1万食の注文。→ 材料、人の不足)
・爆発的ヒットに対応するとき、大事にしたこと
  ○機械化はしない。手作業を大事にする。
     地域の人にも利益を還元するため(臨時雇用80名で対応。授産施設へも発注)
     人は臨機応変に対応できる
     様々な作業を組み合わせることで効率化は可能
・一連の出来事を通して、「商品の潜在能力」と「マスコミの力」を再認識。
 全国のバイヤーや企業と知り合い、様々な商品開発や事業展開にも好影響

■米粉の展開[美唄こめこ研究会の活動]
・平成13年)美唄米の高付加価値化の取り組みが開始 → 平成17年)美唄こめこ研究会発足。
・当初、製粉は新潟県の業者に発注。輸送コストが課題(米粉の価格 6,500円/25kg)
 札幌の業者が製粉機導入、価格が小麦粉並みに下がる
・平成22年 農水省の補助事業(6次化支援)を受け、地元に製粉機導入。
 小ロットでの製粉が可能に(→新鮮、品目対応、顔の見える製品)。低価格化 1,800円/25kg
・米粉普及のために講演活動重視。市民とのレシピ作り、ユーザーニーズの把握。
・中国市場への進出検討(中国大連との経済交流、関税・検閲の課題、先発企業との連携)
・米粉を使った新たな商品開発

■美唄市における中小企業振興基本条例
・中小企業家同友会平成22年10月例会での下川町・谷議員の講演に触発された。
 美唄市の状況を調査し、同年12月定例会で一般質問を行う。
・美唄市の既存振興条例は助成金を出すために制定された条例。基本理念がない
・平成23年4月から第6次総合計画スタート。
 産業振興策も含め、市民の声を聴きながら進めたい。基本条例化も課題。
・新しい中小企業振興基本条例には企業・行政・市民それぞれの責任と責務を盛り込みたい。
 企業の目指す方向がしっかり明確になることが重要。地域の有志で勉強していきたい。

■角屋の経営で大事にしていること
・会社は社会や地域に必要とされるもの。
・社員は仕事をすることの目的・目標を持ってもらいたい。その手段として会社がある。
・従業員との会話のキャッチボールを大事に(従業員のアイデアや関わりを経営に活かす)
・仕事をオートメーション化しない(ワークシェアリングすする)
__。__。__。__。__。__。__。__。__。

高橋さんが「人(従業員)」を大切にしているのを、講演中何度も感じました。特に「やきそばの大ヒット」の時、お客さんの注文が殺到するビジネスチャンスにもかかわらず、オートメーション化による短期的な効率化より長期的な視野に立ったワークシェアリングを実施したところに、その理念を強く感じました。そのぶれない姿勢が「人」の信頼を勝ち取り、活力のある生き生きとした会社を作り上げるのですね。

このことは自治体運営にも応用できるのではないでしょうか。ぶれない姿勢で「人(職員や町民)」を大事にできたら、活力ある「まちづくり」ができるのではないか・・・

ひるがえって月形町を見たとき、果たしてそうできているかどうか・・・

comments

 いつも、すばらしい例会のまとめありがとうございます。まとめていただいた通り、素晴らしい例会でした。そして、2次会のたつみの焼鳥もおいしくいただきました。3月の例会もお待ちしております。

  • 中田信広
  • 2011年02月16日 17:38

  •     

中田さん、コメントありがとうございます。
同友会は家族のような雰囲気なので、きっと2次会のたつみさんでも和やかで前向きなお話になったのでは? 参加できずに残念でした。次の機会を楽しみにしています。
いつか中田さんの会社のお話や経営理念も聞かせてください。

  • 宮下ゆみこ
  • 2011年02月18日 21:18

  •     

コメント・フォーム

(ゆみこの日記 にはじめてコメントされる場合、不適切なコメントを防止するため、掲載前に管理者が内容を確認しています。適切なコメントと判断した場合コメントは直ちに表示されますので、再度コメントを投稿する必要はありません。)

コメント・フォーム

▲TOPへ戻る