2011年02月26日

ニセコ町まちづくり基本条例10周年記念シンポジウム

ちょうど1週間前の2月19日(土)、ニセコ町で標題のシンポジウムが開催されたので、1泊2日で行ってきました。

ニセコ町の「まちづくり基本条例」は、自治体の有り様を定めた(または、自治体の憲法とも言われる)自治基本条例の草分けとして広く知られています。「住民参加」と「情報共有」を柱に、それまで実践してきたものを時代が変わっても受け継いでいくために制定されたのが、2001年(平成13年)のことです。

それから10年。制定当時を振り返りその当時の想いを再認識することと、この10年の間に行政を取り巻く状況が変化した中で条例制定がもたらした成果を確認することを目的に(※私の解釈)、今回のシンポジウムが開催されました。会場のニセコ町民センターには場内満杯の120名程が集まり(うち町民は80名弱)、自治体学会や各種勉強会で顔を合わせる方々の顔も多数目にしました。

なお、この様子はインターネット(USTREAM:ユーストリーム)を通じて同時配信されました。この動画を使った情報発信はニセコ町の情報共有の特徴でもあり、現在は録画された動画がニセコ町のホームページから見ることが出来るようになっていてさすが、徹底していると感心させられました。
(※シンポジウムの各プログラムに[USTREAM画像]をリンクしました。)

さて、シンポジウムは以下のプログラムにしたがって進められました。
全ての内容はお伝えしきれないので、私の感想だけ記します。
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『ニセコ町まちづくり基本条例10周年記念シンポジウム』

1.開会挨拶   ニセコ町長 片山健也さん
2.来賓挨拶   逢坂誠二さん(総務大臣政務官、衆議院議員)

3.パネルディスカッション(第1部) → → [USTREAM画像・約50分
  《公開》子どもまちづくり委員会
   「ニセコ町のまちづくり、ニセコの将来に思うこと」
    ◆片山町長と子どもまちづくり委員とのバトルトーク

4.基調講演「まちづくり基本条例10周年とこれからの課題」
    → → [USTREAM画像:約1時間20分
    講師:木佐茂男さん
       (九州大学大学院法学研究院主幹教授)

5.パネルディスカッション(第2部)
    → → [USTREAM画像:約1時間50分
    ◆パネリスト:
       逢坂誠二さん
       松田裕子さん(ニセコ町まちづくり委員会委員)
       坪井 訓さん(ニセコ町まちづくり委員会委員)
    ◆コーディネーター:
       名塚 昭さん(釧路市職員)   
6.閉会

【感想】
登壇した大人のほとんどが条例制定に深く関わった人達(多くは行政側)だったので、当時の様子やこの条例制定までのプロセスが臨場感たっぷりに語られ、いつしか聴いている私も内側から熱いものが湧き上がってきました。情熱は伝播し、10年という時も超えるのですね。

ニセコ町のまちづくり基本条例は「既に実践していた住民参加や情報共有を形にしたもの」といわれるように、実践があった上での条例制定であり、町民や職員それぞれのワーキンググループの活動や説明会等で充分に議論した上でできあがったものであることを確認しました。議会基本条例の草分けである栗山町議会がそうであったように、創始者は実践があってのちの条例制定であるからこそ『熱』を帯び、『力』を持つのだと感じました。

最近「ホンモノか、ニセモノか」と議論の的になっている○○基本条例ですが、その答えが「形が整っている(必須条項が入っている)かどうか」というより、制定までのプロセスで「どれだけ多くの人が関わったか、どれだけ突き動かされた人がいたか」という視点で捉えるのはどうなのか、今回のシンポジウムを聴きながらそんなことを感じました。

それから、パネルディスカッション第1部の子ども達と町長(および教育長)のバトルトークは、きっと会場に集まった誰もが「今日一番におもしろかった」と思ったのではないでしょうか。
「学校の遊具」を題材にした小6男子は、議論の最終目標値(落としどころ)を定めてこの場に望んでいて、最初は一般論で対応していた大人に「安全は自己責任で解決するから、レベルの高い遊具があるべき」と一歩踏み込んだ提案を持ちかけていました。

大人同士の議論ではお互いが勝手に先を読み、何となくの結論で満足してしまうことがよくありますが、それでは新たな発想や論点にはたどり着けないのだなあと、この純粋さが未来へ繋がるのだと、このバトルを見ていて感じました。子ども達がこうして行政にモノが言える場と雰囲気を作っていることこそ、ニセコ町まちづくり基本条例の成果なのだとも思いました。

今後の議員活動やまちづくりに対して、たくさんの示唆を与えてくれたこのシンポジウム。現場だからこそ感じられた空気があり、ニセコまで足を伸ばした価値のあるシンポジウムでした。月形町でも実践に結びつけたい、そう思います。
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月形町とニセコ町はJRで片道4〜5時間かかります。乗り継ぎの関係で始発に乗った私は、シンポジウムが始まる3時間前にニセコに着きました。時間を潰そうと入った駅前温泉「綺羅の湯」や昼食を取った食堂、そしてシンポジウム終了後の懇親会会場では、地元のお母さん方や年配の方々と普段着のお話ができました。

まちづくり基本条例や行政に対する評価も人それぞれ。その人の興味や行政との距離で変わってくるのでしょう。でもこういう感じで、様々な人がそれぞれの意見を持って何気なく行政のことを話題にすることこそが自治の力であり、地域力だと思います。

この雰囲気は月形町も同じです。ただこれを自治の実践に活かしているかの違いは大きい。

※右の写真はニセコ駅前温泉「綺羅の湯」で19日夜に行われていたシーニックナイトの一コマ。既にキャンドルの明かりが消えかけていたのが残念でしたが、ニセコでシーニックナイトに当たるとは!! 意識していなかっただけに驚きと縁を感じました。

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