2010年11月06日

産業建設常任委員会(2010.11.4)

11月4日(木)午後、産業建設常任委員会が開かれました。
今回は「JA月形町との懇談」という形を取り、役場3階の委員会室にJA月形町の柴田組合長と山本副組合長を招き、月形町の農業の現状や戸別所得補償、農産物の賦課価値化などについて意見交換しました。

産業建設常任委員会委員(金澤議員、笹木議員、金子議員、堀議員、楠議員、宮下、オブザーバーとして吉田議長)のほとんどが農業者であり、その農業形態は様々(法人、産直市場開拓、新規就農者・・・)です。それぞれに何らかの形でJAとの関わりがあり、また農業に対する考え方もかなり違っているので、この懇談によって月形町農業の方向性を突き詰めるということはできませんでした。

しかし、JA月形町幹部の考え方や月形町農業の現状について、情報の共有はできたかと思います。まずは議会が積極的に情報収集することが重要で、今回の懇談をきっかけに、様々な産業分野と積極的な意見交換の場を持つことが必要と感じました。

以下、懇談の内容の一部です。(今回の懇談は将来的な展望を含め、不確定な事項も話題に上りました。誤解受ける可能性や差し障りのある部分は非公開にさせていただきます。)
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1.農産物の出荷状況(平成22年10月20日現在)

※ 全ての農作物が記録的猛暑などの影響を受け、ほとんどの品目で品質の低下や収量の減少など、マイナスの要因に働いている。農家にとっては厳しい年となった。

【米】・タンパク値が上昇(8%以上が全体の75%)
    ただしアミロースは極端に低い(15%前後)  → 「食味はいい」のではないか 
   ・小売価格が下落。昨年に比べ品種により ー1,000〜 ー3,000円/60kg 非常に厳しい状況

【麦】・品質的に良くない。(昨年ほどではないが)収量も低い。
     → 作付者のほとんどが共済の対象になる。

【大豆】・品質悪い(皮切れ、しわ) → 等級落ち

【花き】・量、品質とも良くなかった(特に高温障害の影響)

【果菜】メロン・・・大きく育ちすぎ(4玉入りが主流) → 価格が下がる
    ダイナマイトスイカ・・・のみ販売量、販売額とも 20%増

【カボチャ】収穫量は多かったものの、腐れが多い
      (集荷段階では見抜けないものが多く、クレームの対象に)

【生食トマト】・生産者が 大玉トマト → ミニトマト へ移行
       ・ミニトマトは収量(販売量)、販売額とも増、良好。


2.戸別所得補償制度米モデル事業 と 貿易自由化交渉の影響

[戸別所得補償制度米モデル事業]
 ■定額部分:15,000円/10a(12月24日までに入金)
 ■変動部分:過去3年(平成18年産〜20年産)の全国平均販売価格(11,978円/60kg)をベース
       に、全国平均反収(530kg)を掛け合わせ、10aあたりの標準的な販売価格を算出。
       今年の販売価格が下回った場合にその差額が交付される。
         ↓
[貿易自由化による影響]
    ●自由化が進むと農産物価格が下落
      = 変動部分算出の基準となる販売価格(3年間の価格の平均)が下落
         ↓
    ●基準が下がるので変動部分も少なくなり、農家の手取り減少
      = 現状の戸別所得補償制度下での貿易自由化は、農業情勢を悪くする

[現行の戸別所得補償制度の課題と対策]
・月形町は転作を進めるため、施設園芸に特化した。町内農家戸数の半分以上(特に小さな農家)
 が施設園芸を行っている。農産物の単価が下がっている現状で、投資が回収できない。支援必要。
    ↓
・戸別所得補償制度から漏れている作目に対し、激変緩和措置が行われている。
 また、平成23年からは「産地資金」に名称を変更し継続(ベースは1万円/10a)、
 水田協議会の中で振興資金として加算を検討。

・花きは自給率に寄与していない。しかし自給調整には貢献している。



3.農産物の付加価値化、課題解決

■6次産業化:JAとして現段階で検討していない。
■法人づくり:高齢化で営農できない場面増。
       法人による「農地の集積」や「地域の核としての役割」に期待。JAとして支援。
■土地改良事業:土地利用の効率化、農産物の安定供給の原点。将来に繋がる事業。法人化に必須。
        町も負担し、支援している部分。
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農業問題は様々なケースがあり、1つの手法で全てに対して有用な手だてが取れないのが問題です。

戸別所得補償制度は今年からモデル事業が始まったところですが、「自給率を上げる」という数値目標にばかりとらわれ、「農業の本質」や「国民の食」には意識が薄い政策で残念に思います。食料安全保障という観点から捉えても、自給率という数字だけを上げるのではなく、国民の食卓を確保すること(自給率にはあまり関与しない野菜や果物、乳製品など、食のバラエティーや栄養素の確保)が、重要なのではないかと私は考えています。

最近にわかに浮上したTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)についても、現行の制度内ではとても受け入れられません。現状は「ある程度の農産物の価格維持」が前提にあり、それを基に制度設計されているからです。価格が壊滅的に下落した場合でも、自国で食のバラエティーが確保できるには・・・そのような視点での政策展開を望みたいです。

社会的情勢が変化しようとも、農業者(あるいは田舎暮らしの人)は自分の食料の幾ばくかを自分で確保することが可能です(作らないまでも、手に入れる労力は都会より容易です)。日本の政策がこのまま進めば、田舎ほど豊かで生きやすい場所になるのではないでしょうか。

        

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