2010年08月24日

HOPS2010地方議員向けサマースクール(3)

このサマースクールの最大の特徴は「参加者による議論」です。

事前に3つのテーマ(地域主権・議会改革・地域課題解決)が与えられ、それぞれの考えや自治体の取り組みをまとめて提出してありました。
それをもとに6〜7人の少人数(2班)で議論を行います。基本は参加者の進行による参加者の議論ですが、担当教授(北海道大学公共政策大学院教授の山崎幹根先生または寺田文彦先生)と現役の大学院生も加わり、助言や解説、新たな資料の調達などサポート体制が整っていました。

この中で最も時間を割いたのが、<ワークショップ・地域主権改革の影響とその対応>です。3日間(1日90分の授業時間+余暇)を使い、テーマの絞り込みから発表まで行いました。

この「地域主権」というテーマですが、当初私は漠然としか捉えられず、何を論じて良いのかわかりませんでした。言葉の定義や国の方向などは理解していますが、自分の町への影響やその対応となると細部の事象を並べる程度で「議論」まで結びつけられなかったのです。

しかし山﨑先生の様々な事例を交えたヒントと、現役議長(鷹栖町)の采配でだんだん方向性が見え始め、最後には誰もが「そうだ」と思える点まで達することが出来ました。やはり目標設定(最終日に発表を行う。影響と対応を明確に示す。具体例を交えてわかりやすく等)がきちんと行われ、それに向かってじっくり時間をかけて議論した成果だと思います。時間の経過と共に考えが整理され、質の高い議論がなされていくのを肌で感じました。

以下は私たちのチームでの結論です。
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<ワークショップ>
 地域主権改革の影響と対応 【権限委譲について】

●権限委譲による、行政・議会・住民への影響
(プラスの面)・自覚ができる
       ・意識改革ができる
       ・地方の自立(自律)意識を高める
(マイナス面)・受け入れられない部分がある
        → 格差に繋がる部分

●マイナス面を解消するために、組織・お金・時間の枠で考える
【組織】→ 地域の形を変化させる
       ・水平補完(振興局、中心市)
       ・広域連合、一部事務組合
       ・合併
【お金】→ まずは血を流すところから
      (お金が下りてこなければ何もしないのでは、何も始まらない)
【時間】→ 段階的な受け入れ(できるところから)→ 最終的には同じレベルで

●地方議会としての対応
 1.情報の提供と共有    ( 国 → 議会 → 住民)
 2.議会が優先順位をつける (住民 → 議会)
 3.声を上げる       (議会 → 国 )

●具体例
[幼保一元化]【現状】・・・児童数の減少、社会ニーズの変化、子どもの権利
       【影響と対応】・・・田舎でも都市部でもメリットがある
          例)幼稚園の生き残り    (札幌市)
            地域の子どもを地域でみる(新冠町)
            育児環境の確保     (月形町)

[公営住宅の入居資格(政令月収)]
       【現状】国の基準での政令月収は地方では高額設定となるため、入居倍率が上がる。
           公営住宅を最も必要とする住宅困窮者(低所得者)が入居できない。
       【影響】地方都市の一部(例:恵庭市)
       【対応】民間に流れるように(政策で)誘導

●最終的な到達点 → → 議会改革 (地域のことを地域で決めるためには議会改革が必要)
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建設的な議論は楽しい!!

霧の中をさまよっていたものが、議論をしていくうちにおぼろげに見え始め、ある時パッと霧が晴れて視界が開けたのを感じるような、そんな楽しいワークショップでした。久々に感じた「議論の楽しさ」です。

私は発表者&書記だったのですが、議論に積極的に参加することができました。そうできたのも議長役の青野さん(鷹栖町現役議長)のお陰です。要所要所で問題点を整理してくれたり、じっくり話を聞いてくれたり。議論にリズムがあって、参加者が皆それに乗れるような良いタイミングの合いの手を入れてくれる・・・とても参考になりました。


 地域主権改革 → 議会改革

このワークショップで、議会改革がもう避けては通れない所まで来ているのを実感しました。けれど現在月形町議会で行っている議会改革(議会活性化の議論)は枝葉部分がメインで理念や理想は後回しですし、他の多くの議会も似たり寄ったりのようです。

しかし地域主権改革のような大きなテーマに立ち向かうためには・・・
根本的な議会改革をするためには何をすればいいのか・・・    → 次項「議会改革」へ

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