2010年05月17日
総務民教常任委員会(2010.5.17)
今日の午後、総務民教常任委員会が開催されました。
今回の調査内容は「特色ある教育について」です。開会後すぐに月形小学校に場所を移し、昨年度導入された電子黒板の実物を見ながら説明を受けました。その後委員会室に戻り、通常通りの調査と討議を行いました。以下に内容を記します。
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『特色ある教育について』
1.ICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)機器利用状況
【授業におけるパソコンの利用状況、電子黒板利用状況】
●平成21年度末までの整備状況(設置のための経費:小中3校の合計)
・校内LAN :100%(387万円)
・パソコン :131台
(児童・生徒は3.6人に1台=88、教職員は1人1台=43)
+アクセスポイントの整備 (2,495万8千円)
・デジタルテレビ(50インチ):26台(601万円)
・周辺機器:デジカメ、スキャナ、他(827万2千円)
・電子黒板(50インチ):月小3台、札小2台、月中2台
(56万4千円/台×7台=394万8千円)
●パソコンの利用状況
[小学校]・主に総合学習「調べ学習」で活用(3年生15時間/年〜6年生30時間/年)
・児童の利用:基本操作、ワープロ、グラフィック、ネットワーク、発展
・教員の利用:算数の図形・立体や理科の教材提示、他。プレゼン等にも活用。
[中学校]・技術科、理科、総合学習で活用(週1〜3時間)
・生徒の利用:パソコンスキル学習、調べ学習、行事のためのインターネット利用
・教員の利用:デジタルテレビとの接続による視覚提示、学習資料作成
●パソコン利活用の今後の課題
[小学校]・児童:スキルの定着、情報活用能力の育成、ネットモラルの指導
・教員:電子黒板の機能が生かされる教材の開発
[中学校]・生徒:スキルの充実、ネットモラルの定着(情報化の「陰」への指導)
・教員:データの共有化による有効活用、小中高情報教育連携事業の推進
●電子黒板の利用状況と今後の課題
・平成22年3月に納入されたばかりで、まだ充分に活用されていない。
・先進校の実践事例の学習や講習会の実施。学校に合う使用方法の検討。
・現在は教員が教材を作り使用している
→ 教材の開発と共に、生徒も使用できる容易なコンテンツや教材の導入を希望
・教育委員会としての見解:平成21年度:機械の整備
平成22年度:コンテンツや教材の研究
平成23年度:導入のための予算要求
[質疑応答]
Q 教材やコンテンツの研究はどの様に行うのか?
A 校内体制を中心に、教育委員会もチェックしながら最も効果的に活用できるよう進める
Q ICT機器の多用により、生の授業がおざなりにならないか?
A ICTの有効な活用はあるが、生身の授業が大事なのは当然。
Q ICTを使うことにより悪用されることはないか?
A 有害サイトへは高度にブロックされている。
[意見等]
■物は整備されたが活用のためには時間も労力も必要。教育委員会と現場(学校)が連携すべき。
■ICTは有効な道具であるが、その道具へ偏重しすぎることで
先生の負担増や、子どもとのふれあい不足を懸念する。バランスのとれた活用が重要。
2.中・小連携による英語教育
●小学校の英語教育の状況
・新指導要領(平成23年4月〜完全実施)では5年生からの英語教育となるが、
移行期間として、平成21年から5・6年生は「外国語活動」を20時間/年実施。
(3・4年生は総合学習の時間で20時間、1・2年生は英語活動で10時間、それぞれ実施)
・月形町では既に平成17年4月から、小学1年生〜6年生までを対象に初歩的な英語教育を
AET(Assistant English Teacher:英会話外国人講師)が中心となって行ってきた。
これは中学1年での英語ショックを和らげる先進的な取り組み。成果を出している。
・子どもは小学校から英語教育を受け、中学の英語授業にスムースに移行できている。
●今後の課題
・子ども側から見ると小中英語教育の連携は出来ているが、先生方の連携はない。
今後取り組むべき課題。
[質疑応答]
Q 英語を話せることで、英語圏によらず様々な国の人と話しができるようになる。
国際交流等の経験を持たせることはできないだろうか?
A 月形町には英検合格(月中生・月高生2級、小学生3級)で短期留学できる制度がある。
他の手だてについては検討させて欲しい。
[意見等]
■教育長の取り入れた、平成17年からの英語教育開始(小学生の段階的な英語教育の実施)は、
とても評価できる。
■コミュニケーションの活用の場(体験型)や、英語能力の実感できる場など、
英検海外研修制度を含めた政策展開に期待したい。
■更なる目標として、小中学校の先生方の連携を望む
3.中・高一貫教育の可能性について
●中高一貫教育の意義
:6年間の計画的・継続的な教育指導が行われ、生徒一人一人の個性を活かす教育ができる
●中高一貫教育の形態
・一体型:中高を1つの学校として、6年間の教育を一体的に行う形態(1つの学校)
・併設型:同一の設置者による中学と高校を接続し、教育課程の編成で連携を深める形態
・連携型:既存の中学校と高校が教育課程の編成や教員・生徒間の交流などの連携を深める形態
●道内の導入事例(平成22年4月現在)
・連携型 8校、一体型 1校(いずれも小規模校)
・中学卒業後ほとんどが地元高校へ進学する場合は導入可能
●月形町の場合(中学校:町立、高校:道立)→ 可能性があるのは連携型のみ
・10年ほど前(月高入学者が減少し、存続が危ぶまれた時)検討した
→ それぞれの学校がやれることを一生懸命やることが大切ではないかという結論
・月高の存続=良い教育をすることで生き残ることを選択
[質疑応答]
Q 月形町の現状では中高一貫教育は難しいと理解できたが、
一部の教科や部活動などで連携(交流)はできないだろうか?
A 中高一貫教育は【研究指定】を受けた上で導入している。
指定を受けなくてもできることはある。必要ならやる。
Q 中学校の段階で、他の地区(自治体)から生徒を受け入れる方法はあるのか?
A 両者の教育委員会の判断で受け入れは可能。ただし小中連携とは別の形態。
[意見等]
■今の制度上、月形町における中高一貫教育は難しいと理解した。
■中学と高校は共に1校ずつしかないので、形にとらわれず、協力や交流などに取り組んで欲しい。
■地域として支える部分は、これまで通り支えていきたい。
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今回の教育委員会所管の調査はいずれも中身が濃く、興味深かった。
教育現場におけるICT活用には先生方の努力や労力も相当必要だろう。負担感が強まるかもしれないが、先生方こそICTを楽しんでもらいたい。「ドラえもんのおもしろ道具」くらいの気持ちで。
そして自然豊かな月形町の環境も取り込んだ中で活用できたら、鬼に金棒だ!
教育は施策も評価も長い視点が必要だが、月形町で行われている学校教育は非常に有意義である上に先進的だと感心させられた。これは12年かけて築き上げた渡部教育長の力と、教育委員会や現場の先生方の努力によるものと考えられる。人々の素晴らしい出会いの賜だ。