2010年02月24日

栗山町議会「議会報告会」の視察

栗山町議会は、議会基本条例をはじめとする先進的な議会運営を行っていることで広く知られていますが、その根幹は「住民参加」であり、その活動の柱の1つは「議会報告会」です。栗山町議会では平成17年3月に最初の議会報告会を開催し、今年で6回目を迎えました。

今年の議会報告会は2月15日〜20日まで、栗山町内12カ所の会場で開催されました。議長を除く12人の議員が3班(4人ずつ)に分かれて会場毎に報告会を運営、「議会の立場(議会としての統一見解)」でこの1年間に議決した主要なものの内容説明と、町民との情報交換を行います。

私は2月19日(金)カルチャープラザekiで行われたC班(八木橋議員、楢崎議員、置田議員、桂議員)運営+議長参加の議会報告会を視察してきました。会場には私の他に南幌町議3名(この3月に南幌町議会初の議会報告会を開催するため、参考目的に視察)や、テレビ局のカメラも入っていたので本来の雰囲気でなかったかもしれません。
参加者は約60名、うち女性が2割。C班以外の栗山町議も数名傍聴(同時刻に別会場でも報告会を開催)。所要時間は約2時間。

以下に議会報告会の進行と内容、印象に残った点、感想等について記します
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栗山町議会「議会報告会 No.6」 

1.「議会基本条例前文」のうち「議会の使命」部分の朗読

2.今年度、議会で審議された主要なものの報告と説明
 【泉徳園(栗山町立養護老人ホーム)民営化】
  → 産業福祉常任委員会へ付託
  ・審議経過
  ・産業福祉常任委員会からの意見
  ・採決状況(資料に議員別採決を掲載)→ 賛成多数で可決・採択
  ・可決した主な理由

 【給食センター調理業務等民間委託】→ 総務教育常任委員会へ付託
  ・採決状況(資料に議員別採決を掲載)→ 賛成少数で否決・不採択
  ・否決した主な理由と、今後の展開

 【栗山赤十字病院の状況】→ 一般会議と一般質問から
  ・現状の説明と、今後の見通し
 【議会モニター】
  ・議会モニターからの提言と、活動実績の報告
 【資料説明】
  ・議会の開催日数
  ・町税等の未収金(未収金の詳細説明)
  ・地方議会と国会(議院内閣制と二元代表制の違い、地方議会の役割)

3.上記事項に対する質問と回答
4.資料以外の事項についての質問と回答、その他
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[私の印象に残った点]

◆議会報告会が「機関(組織)としての議会」の立場で実施されていることを再確認
・報告会を運営する4人の議員の役割分担が明確化され(班長、司会、説明2)、
 全員で報告会を運営
・町民からの質問に対し「議会の立場」を貫いた回答(個人的な見解は無し)

◆議会内の議論や経過が整理されていた。
・町民に分かりやすく短時間で説明するために、伝えるべきポイントが絞られていた
・説明をしやすくするため、追加資料(ポスターなど)を用意=課題の視覚化、具体化
・否決案件(給食センター)については、議会側の見解の根拠を論理的に説明。

◆栗山町民の多くが、二元代表制(議会の役割)を理解
・町民自身が「まちづくり懇談会(行政主催)」と「議会報告会」を聞き比べ、
 それぞれの立場の違いや、見解の相違点を再確認していた。
  → 両者に対する理解を深めると共に、(首長、議員選挙時の)判断材料
・行政と議会の特性を理解し、積極的に活用
  → 行政に対しては、全般的な住民サービスの要望
    議会に対しては(身近な町民の代表者として)行政の問題点の追求と確認を要請

◆地方自治の世界で先進的な取り組みをしている栗山町議会にあっても、町民の要求は厳しい
・議会基本条例があるが故に過剰な取り組みをしていないか、という町民からの質問
 (議員報酬や議会運営に対する厳しいコスト意識)
・議会が関与していない行政分野への説明や対応を求められる

◆議会が機関として機能するためには、時間をかけた議論や調査・準備が必要
・泉徳園民営化では、結論を出すまでの約半年に9回の常任委員会を開催。
 専門的知見の活用なども含め、問題点を明確にし、採決の根拠を共有していた。
・議会報告会で各議員が役割を持つことで準備を入念に行い、課題を深く理解する。
 あわせて「議会としての見解」を再認識できる。
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「行政より議員は身近な存在なので、色々聞きやすい。」
これはある参加者の発言でしたが、これこそ町民と議会の関係を表している言葉だと思います。

しかしその一方で、「議会基本条例があまりに有名になり、上ずってしまわないか心配」「議会基本条例に縛られて無理をしていないか」などの発言から、身近な存在だった議員や議会が遠くへ行ってしまうような不安感が町民側にあるのも感じました。

身近な存在であることに加え、最先端の取り組みを形にしていくためには資質の向上が欠かせませんが、それらをバランス良く高めていくのは本当に大変だと感じました。
また「地域の課題」は議会運営とは別次元でどの自治体にもあり、その解決策は自分達自身で見つけなければならないことも再認識させられました。


今回、自分の目で見て、肌で感じて、多くの学びと気づきがありました。
視察を受け入れてくださった栗山町議会の関係者のみなさん、ありがとうございました。

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