2009年04月26日

マニフェスト・スクール北海道(講義)

4月25日(土)、26日(日)に札幌市教育文化会館で行われた「マニフェスト・スクール北海道」に参加してきました。このマニフェスト・スクールとは「地方議員がローカル・マニフェストを活用することで、住民意志による行政の実現、地方議会の活性化、政策中心の地方政治を確立すること」を目的にして、全国各地で実施されています。

今回の参加者は約30名。道内各地の市議会議員の参加が多かったものの、町議会議員も私を含めて4名、他に北海道道議や山形県議、関東方面の議員、北大公共政策大学院生もいらっしゃいました。またNPO法人ドットジェイピー(若者と政治を結ぶ活動)に所属する大学生の参加・協力もありました。

第1日目のプログラムと、私の印象に残った内容について記します。
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《第1講》マニフェスト概論 〜マニフェスト選挙の現状と課題〜
    講師:北海道大学公共政策大学院教授 山崎幹根氏 

◆マニフェストの発祥はイギリス。政党政治から派生して生まれた。
◆マニフェストとは、政権獲得後に実行する政策や提言のこと。政策の品質保証。(→政党政治の中で、政党が行うもの)
◆選挙公約との違いは、具体性、検証性。
 (政策実現の手段、期限、工程表や数値目標などが明示される)
◆地方議会の場合
・首長のマニフェスト → 総合計画に落とし込む必要がある。
・議員マニフェスト  → 本来の意味から外れる(二元代表制では政権を取れないから)
 しかし、会派として追求することはできる ≒ 具体的な選挙公約
◆マニフェストを「議会全体としての取り組み」と考えれば、議会基本条例がこれにあたる。


《第2講》議会版マニフェスト 〜栗山町議会基本条例〜
    講師:東京財団研究員(前栗山町議会事務局長) 中尾修氏

◆地方分権の時代になり、議会はダイナミックに変化すべき時を迎えている。今、議会が主役の時代になってきた。しかし現実は遅々として進んでいない、変化していない。
◆議会とは、意志決定し、確認し、チェックする機関。行政をチェックするだけの機関ではない。
◆意志決定するためには民意とつながる必要がある。
◆議会基本条例とは、市民と同じ土俵で、市民に見える形で民意を取り込もうとする、議会としての約束。
◆「地方分権」を求める地方からの声が上がってこない。地方分権が進めば力を得るのは「議会」。その議会からもっと声を上げていこう。
◆今、議会が試されている。地方議会も国と対峙できるだけの覚悟と踏ん張りが必要。

《第3講》マニフェスト首長との戦い方
    講師:前神奈川県議会議長 松田良昭氏

◆神奈川県知事松沢氏がマニフェストを掲げ圧倒的多数で当選してから、マニフェスト首長と議会との戦いが始まり、やがてマニフェストの良さに気づいた。
◆議長選挙の折り、全国初の議長マニフェストを掲げほぼ全員の賛同を得て選出された。
◆議長マニフェストには3つの目標、12の指標、54の工程表を掲げた。明快なビジョンを描くことにより、議会事務局を含め議会全体が生き生きと迅速に対応できるようになった。(マニフェスト大賞審査委員から賞賛。県民満足度No.1の議会となる。)
◆議会のマニフェストとは、気づきと覚悟(責任)を与えてくれる。議会は自分で立案し、自分で決定できる機関であるという「気づき」


《第4講》はばたけ! 地方政府時代の議員たち
    講師:早稲田大学大学院教授 北川正恭氏

◆「隠して先送り」から「出して解決」の時代になった。
◆これから本物の地方自治が始まる今、明治維新の頃と同じではないか。リスクをしょって過去のしがらみを断ち切る必要がある。非日常の決断(バックキャスティング、価値前提の経営)が求められる。
◆政治家の使命は、しがらみを断ち切って、正しいミッションに向かって決断すること。「やるんだ!」という決意で頑張るしかない。脳に汗をかいてやり抜くしかない。
◆理論なき実践は「暴挙」、実践なき理論は「空虚」。
◆「お願い」から「約束」へ。政治は契約。マニフェストは人のベクトルを合わせる。
◆全国アンケートの結果から、マニフェストをよく読んでいるのは都市部より郡部(数%の差)。
◆PDCA(Plan Do Check Action)サイクル
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私はこの日の講義を受けるまで、無所属の地方議員という立場にとって「マニフェスト」は遠い存在であり、その当事者になりうるのか常に疑問がありました。また「マニフェスト」という言葉自体なじみが薄く、自分の中に充分落とし込めていなかったのも事実です。
しかし今日の講義を聴くうちに、定数10の月形町議会においては私一人であっても議案の提出権があり(定員の1/12で可能)、少なからず政策実現の可能性があることに気づきました。(小さい町の特権ですね)。最大会派でなくても、執行権がなくても、マニフェストを生かす場があることに気づけたのは大きな収穫です。

もちろん賛同者を募り、会派的な動きの中でマニフェストを作ることができればそれに越したことはないのですが、まずは自分一人からでも始められることで光が見えてきました。

また北川先生のお話を聞いたのは今回が初めてでしたが、論理的な展開で人を引きつけ、情熱で言葉を投げてくる手法、もちろん内容に感化され、涙がこぼれるような感動を覚えました。地方分権が進み時代が大きく変わろうとする今、その当事者である議員として、小さな議会であってもやるべきことはあると背中を押された思いです。
 
理論なき実践は「暴挙」、実践なき理論は「空虚」

しっかり頭に入れて活動していきたいと思います。

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