2009年01月26日

画期的な講演会&グループワーク「年をとってもこの町で住み続けるために」

今日の午後、月形町保健センターで「年をとってもこの町で住み続けるために〜自分だからできること・自分にもできること〜」と題した講演会&グループワーク(グループでの話し合い)が行われました。
参加者は40名余り。月形町保健福祉推進員の現役やOGをはじめ、この分野に興味のある一般町民、役場(保健センター)職員と岩見沢保健所職員など。60〜70代の方中心で、9割が女性でした。

この集会は3部で構成されていました。
以下に私の心に残ったことを中心に内容を紹介し、最後に感想などを記します。
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【講演】「年をとってもこの町で住み続けるために
    〜自分だからできること・自分にもできること〜」
 講師:北海道総合福祉研究センター理事長 五十嵐教行氏

◆住み続ける=年をとっても暮らせる場所 ということ。
◆「暮らす」ためには柱が必要。生き甲斐が柱になる。そのためには「自分らしさ」を求めること
◆「自分にとって良いまち」を追求することで、結果的に他の人にとっても良いまちになる
 (町には多種多様な人が住んでいるのだから、それぞれニーズに合わせたまちが出来上がる)
◆「自分らしい暮らし」を自分一人で手に入れられないときは、手を少し借りよう(声を出そう)
◆手を貸して欲しくても素直に声が出せない人もいる。
 その人のプライドを守りながらも手助けするには、ほんの少しの「おせっかい」が有効
◆子どもは、今住んでいる人の暮らし方を見ている。今の私たちの行動が5年後、50年後の月形に影響を与える。
◆地域住民のつながりが暮らしやすさへとつながるのでは。昔から同じことが言われている


【町職員と保健福祉推進員からの話】

1. 月形町住民課保健福祉係 主査 工藤由三子氏
◆月形町の保健福祉推進員は地域と行政のパイプ役として活躍してくれたが、制度は今年度限り。今後新たなに展開していく予定。
◆現在月形町の全世帯数は1,767。うち65歳以上の独居世帯は230、夫婦世帯は221。
(4軒に1件は高齢者世帯)
◆平成20年度の出生児数は16人。 

2. 保健福祉推進員 廣野いづみ氏
◆保健福祉推進員の主な仕事は、住民検診や乳幼児検診のお手伝いと、独居老人宅の訪問など
◆4年間の活動を通して感じたこと
・子どもの数が本当に少なくなった。
・推進員の訪問を楽しみにしてくれている方が多い。(楽しい時間に)30分の予定が1時間半なることも。「日常のことをちょっと頼めるご近所さん」のような役割だと思う。
◆月形町が一つの大きな家族として、みんなが関わり合えたらいいと思う。


【グループワーク】
8人程度のグループ(5つ)に分かれ「月形のいいところ」「自分たちにもできること」などについて自由に話し合いを行った(約40分間)。最後に話し合った内容を前方に張り出し、グループ毎に発表(情報の共有)。進行と書記、発表は各グループに配置された保健師さん達。

〈まとめ〉
◆月形のいいところ とは?
・自然(四季折々の風景や気候の変化)
・人情味がある。ふれあいが多い。当たり前のように交流がある。
 (= 他人をほっとけない人が多い
  → ちょっとした垣根が越えられれば、次につながる可能性がある)

◆自分たちにもできること
・人とのつながりをつくる(声かけ、町内会活動、隣近所の付き合い、仲間づくり)
・交流の場づくり(自ら参加、仲間を連れ出す、場所の確保、役割を与える)
・健康の維持
・リーダーづくり(声かけや交流の先頭に立つ人がほしい)

〈私のグループでの話し合いの中から〉
・月形は人情が厚く、つながりもあって良い。ただ若い頃(関係が薄い時期)は辛かった。
・女性は自然に自分らしく暮らしていけるけれど、男性は自分から声を出せない。
 男性には役(○○長や顧問などの肩書き)を与えることで、人とのつながりを持ってもらう。
・女性の方が長生きで残される(独居になりやすい)。女性同士が助け合わなければと思う。
・手助けする方、手助けされる方ともお互いの間合い、折り合いが大事。
 頼りすぎても頼られすぎても関係が長続きしない。
・[自分らしい暮らしの事例]札比内地区の七十の会、月ヶ岡駅の直売所(野菜の販売)
・保険推進員制度がなくなるのはどうなのか。隣近所と言っても遠く離れていてサポートするのが難しい地区もある。また隣近所とは違った「人のつながり」をもたらしていた。
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私はこの講演会の案内を見て、普通の講演会をイメージして参加しましたが、実際には「グループワーク」がメインの住民参加型の創造的で画期的な会合だったので驚き、嬉しくなりました。

今まで月形町ではグループワーク形式の会合はほとんどなく、講演会と言えば一方的に話を聞くだけでした。今回は少人数のグループで話しやすい雰囲気の中、どの参加者も自らの体験や考えを自由に話すことができ、それなりの理解や満足感を得られたのではないでしょうか。帰り支度の表情がにこやかで明るかったことからも、そう感じられました。
また主催者側(+私)にとっても、町民の細かなニーズや実態を知ることができ、有意義だったと思います。

しかし、企画側(主催者側)としては物足りなさも残ったのではないでしょうか。
この集会の裏の目的として、
・この町で住み続けるために何が不足しているのか
・保険推進員制度に変わる新たな制度設計へのヒントとそれを支えるボランティアの確保
があったのではないかと(私は勝手に)思っています。

今回の集会に参加されたのが60〜70代の方が中心で、それぞれのお話からも既に「自分らしい」暮らしを手に入れている人が多く、きっとこのままの生活で住み続けられるという確信を持っています。ですから新たなヒントと言っても出にくく、またこれ以上のボランティアも難しいのかもしれません。

もしもヒントを求めるのであれば、今まさに不安や不満を抱えている「つながりのない方・薄い方」や、これらの制度を支える「若手や現役世代」の話を聞く必要があると思います。そう考えると、開催日時の設定や周知の方法等でもう一工夫必要なのでしょう。

私は今日初めて保険推進員制度が今年度限りで終了することを知りました。推進員の廣野さんの話やグループワークから、「独居老人訪問」は非常に求められていおり、今後益々需要の増える事業であると感じました。しかし集会後に確認したところ、
・推進員のなり手がいない
・独居宅訪問も予定数を実施できていない(人員確保が難しい)
等の問題があるとのことです。今回の集会では、推進員の仕事の紹介だけでなく(行政側から)問題点や悩みもあわせて伝えることで、推進員の実態を浮き彫りにできたと思います。そうすることで、この制度に対する理解と今後のヒントが出てきたのではないかと・・・。

それにしても、この企画に対し保健所のサポートは素晴らしいと思いました。キチンとリードする方のお陰で充実した講演会&グループワークになったと思います。実践を通して学ぶことができる「役場職員」がうらやましく思いました。

それからもう一つ。この手の集会に参加する男性議員がいないことも気になりました。福祉分野は今もこれからも行政にとって大きな位置を占める問題です。これからの施策にも登場します。にもかかわらず「女性の分野=聖域」と思って、情報収集が疎かになっているとしたら(実際になっていると思うが)問題です。もっと関わって欲しいと切に思います。

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