2008年04月05日

講演会「食と農の循環〜生ゴミの堆肥化・三笠市の実施例」

本日、札幌環境プラザで行われた講演会『食と農の循環〜生ゴミの堆肥化による地域循環システムについて(三笠での実施例)』に参加してきました。講師は三笠市の堆肥化システムを構築した、株式会社K&K代表取締役の石川文雄氏です。
これは「環境・自然を考える会」が主催したもので、シリーズで行っている勉強会とのこと。今回は「農を考える」特集の2回目で参加者は約30人、年配の方が多かったのが印象的でした。
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【講演を聴いての私の感想】
三笠市の生ゴミ堆肥化のシステムは、家庭から処理場まで「腐敗臭」なしの処理ができることに興味をひかれました。また家庭での処理方法が特別の機械を使うのではなく、「抗酸化バケツ」を使用するだけ、週1回の回収でも充分機能するということにも魅力を感じました。
生ゴミを堆肥化するには全てのシステムを導入する必要があり、それなりの資金が必要ですが、生ゴミを一般ゴミと分けて「資源」として回収する方法としては、今すぐにでも導入できそうです。
生ゴミ処理後の堆肥の成分については若干疑問の残るところもありました。今後、機会があったら調べてみようと思います。また現地視察をしてみたいと思います。


以下に講演の内容を列記します。
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【生ゴミの現状】
◆全国から出る生ゴミ(食品残渣)は2,000万t/年、うち一般家庭から60%、事業者から40%。
◆事業者分(40%)には法律の適用があり、減量化やリサイクルすることが義務づけられた。
 (全国では1/2=800万t分がリサイクルできている)
◆一方、家庭分は行政が処理している。現状では法律や削減目標もない。
 (リサイクルできているのは、ほんの1〜2%)
◆生ゴミは現状では焼却されるか埋め立てられている。この方法ではコストや環境汚染が問題。上手く処理できればコスト削減(直接的なコストだけでなく、汚水処理場の規模縮小や埋め立て処分場の延命なども)できる。生ゴミは資源である。
◆現状での生ゴミの処理費(焼却の場合)は4〜5万円/t

【生ゴミの堆肥化について】
◆行政が生ゴミの堆肥化に取り組んだ先進例として、岐阜市、豊橋市があげられる。しかし、いずれも実験段階で終了した(良い堆肥を作るにはコストが高くつき、採算が合わない)。
◆「生ゴミからの堆肥は使う農家がない」と言われるが、それはコストを下げるために粗雑な作りをした悪質な堆肥が出回ったため。製造方法によってはコストを抑えながら有用な堆肥ができる。
◆生ゴミの堆肥化の最大の問題点は『臭い(腐敗臭)』

【K&K方式による生ゴミ(食品残渣)堆肥システム】
◆有用微生物(乳酸菌、光合成細菌、酵母菌、糸状菌、放線菌の混合物)の活用により、家庭から運搬・処理場まで全ての工程で腐敗臭のしない生ゴミ処理を実現した。
◆異物(金属、ガラス、ビニール類、紙布類、油など)以外の食品残渣全てを堆肥化できる(骨、貝殻、魚の内臓、天かす等もOK)
◆処理コストは現状の焼却処理と同等以下(5t/日=1,500t/年の規模で、4万円/t前後)
◆完成した堆肥は有機農産物の認定を受けている

【三笠市の例】
◆SPC方式(施設の建設や、そのための資金繰りを行う特定目的会社を民間会社が設立し、建設した施設を市が借り受け、賃料を支払う仕組み)による業務委託
 ・民間技術を活用できコストダウン可能(委託事業者が責任を持つ)
 ・国の助成有り(設備費の1/2をバイオマスニッポンの事業から補助された)
 ・残りの1/2は委託事業者が負担(=行政の初期投資負担がない)
◆3年前から業務委託、H19年4月から本格稼働
◆生ゴミ堆肥化のフロー
 《各家庭》・異物を取り除いた生ゴミを水切りし「抗酸化バケツ」に貯める。
   ↓   (抗酸化バケツは30℃でも2週間腐敗臭を発しない)
 《回 収》・抗酸化バケツごと数軒単位で路上にまとめて置く
   ↓   ・週1回の回収 
 《処理場》・生ゴミを裁断。有用菌散布。ボイル釜で乾燥(1/5になる)。異物除去。
      ・乾燥した生ゴミ(80%)に、貝化石、籾殻、有用菌培養液他(計20%)を混合
   ↓   ・2ヶ月放置(発酵熱により60〜70℃まで上昇)
      ・場所の移動(切り返し状態)後、1ヶ月放置
 《堆肥の完成》・袋詰めして販売
      ・三笠市内の生ゴミは全て堆肥化され、三笠市内で消費される
◆本稼働後1年の処理実績
 ・生ゴミ処理量 約1,000t → 堆肥 300t
◆従業員は6名。回収作業から堆肥作りまで全てを行う。全て三笠市内の住民
 (当初は専門技術者の指導を受けるが、その後は地元雇用者で十分対応できる)

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