2007年11月15日

北海道市町村合併シンポジウムin旭川

 本日午後、旭川市大雪クリスタルホール音楽堂にて北海道主催の市町村合併に関するシンポジウムが開かれました。これは自治体理事者、職員、議員を対象とするもので、全道各地から人数制限がでるほどの関心を集めて行われました。
__。__。__。__。__。__。__。__。__。
 
 基調講演は(財)東京市政調査会理事長で、第29次地方制度調査会(地制調)のメンバーでもある西尾勝氏の「市町村合併を含めた基礎自治体のあり方」。主な内容は

●平成の市町村合併推進は合併新法期限切れのH22(2010)年3月でひとまずやめるべき。市町村合併の目的は、行財政の効率化と地方分権の受け皿作りであったが、合併ばかりに気がいって分権の方向へ向かっていない。腰を落ち着かせ、地方の自由度が増す分権の方向へ向かわせたい。

●地方自治体の分類(政令市、中核市、特例市・・・町、村)は要件が緩和され、単に人口規模による分類になった。小規模の自治体では権限委譲されても担えない。しかし様々な理由(離島、孤島、合併協議のもつれ、人口密度の低さ・・・)で合併の余地がない、合併条件が折り合わない地域も現存する。そこで「特例町村」を設けてはどうか。

●「特例町村」とは「一般町村」に対し、義務的事務の範囲を縮小(例えば国保・介護保険の保険者)するもので、任意的事務(図書館の設置等)は今まで通り。ただし交付税や地方税はそれぞれの仕事量により額を変える。住民へのサービスは垂直補完(都道府県による補完)、可能であれば水平補完(周辺町村による補完)の仕組みを作る。議会や教育委員会、公平委員会・・・等の政治・行政機構に関しても廃止を含め簡素化していく。

●権限委譲の実績が最もあるのは広島県。考え方が進んでいるのは福島県と山形県(ただし市町村側からの申し入れが少なく、実績は少ない)。

●地方自治体の有り様を、国は明確な区分け(例えば人口)で全国一律に決めたいと考えるが、町村は自分達で(どの義務的事務をするのか)決めたい。相反する関係である。今後、様々な仕組みの標準型を作るようになるのではないか。
__。__。__。__。__。__。__。__。__。

パネルディスカッション「考えよう地域の未来ー今、私達がすべきことー」
パネリスト  西尾 勝 氏(財団法人 東京市政調査会理事長)
       小西砂千夫氏(関西学院大学大学院教授・経済学)
       室田 哲男氏(総務省自治行政局合併推進課課長)
       田中 誠 氏(元端野町長)
司会     佐藤 俊夫氏(北海道企画振興部長)

●H20.7の全国市町村数は1,788になる見込み。西高東低(県庁が進めたところは進んでいる。道庁は進めなかった。)

●広域連携→合併という流れが、市町村合併を推進する上で進みやすいのではと考えたが、スケジュールとして間に合わない。道の地理的、人口的要件から、同時並行で進める方向になるであろう。

●道内の合併していない自治体にアンケート調査し、以下の2点を感じた。
1) 目の前の財政問題が気になっている自治体が多い。もっと長期的な目線で考えて欲しい。
2) 支庁制度が大きく、いざとなったら助けてくれるという甘えが見える。

●市町村の役割は明治・昭和の大合併の時より幅が広がっている。調整が難しく、割れる要素が多い。町村長の固い意志が必要。

●地方財政計画では、今後5年間もそれまでと同じペースで歳出削減していくと示されている。
__。__。__。__。__。__。__。__。__。

3時間にわたるシンポジウムでしたが、中身が濃く、今後の地方行政のあり方を考えさせる良い場になりました。
パネルディスカッションの中で小西氏が「道内の自治体は合併に関心を持つのが遅い。今の関心の高さが旧法の時代にあったなら、違った選択肢があったのに。」という言葉に、議員としてアンテナを四方八方に張る必要性と、時代の流れと情報に迅速に反応することの大切さを痛感しました。
それから、西尾勝氏から直接お話を聞くのはこれで2度目ですが、今回も話の分かりやすさと情報量の多さに感心し、納得しました。普段は媒体を通して西尾氏の発言を聞くのですが、紙面等の関係上内容を割愛した情報となり、本質が伝わっていないように感じます。本質を見極めるべく自分自身で積極的に活動していくことが重要だと再確認しました。

comments

コメント・フォーム

(ゆみこの日記 にはじめてコメントされる場合、不適切なコメントを防止するため、掲載前に管理者が内容を確認しています。適切なコメントと判断した場合コメントは直ちに表示されますので、再度コメントを投稿する必要はありません。)

コメント・フォーム

▲TOPへ戻る